Fashion

ベストの流行が20年ぶりに復活。タンスの片隅から取り出してみては

20年、手放そうと思ったことはない

 だからといって、この20年、このベストを手放そうと思ったことはありません。  クオリティが高く、普遍的なデザインであるだけではなく、何よりこのベストにはロンドン旅行の思い出が付随しています。 ベスト 今でもはっきりと、あのリバティのフロアで、どのベストを買おうか、あれやこれや試着してみたことや、買った後、違うフロアの本屋が併設しているカフェで紅茶とチョコレートケーキを注文したこと、そして生地売り場でうっとりするような豪華な生地を見て回ったことなど、鮮やかに思い出せます。

小さな宝石のように輝く、お買い物の思い出

 インターネットの出現以来、通販が発達し、世界じゅうのものはなんでも家にいながら買えるようになりました。けれども、そこではお買い物という経験にまつわる思い出までは買えません。  ロンドンのリバティでベストを買ったというささやかな思い出さえも、年月が過ぎれば、記憶の地層で結晶化し、時々取り出して磨けば、それは小さな宝石のように輝きます。 ベスト 20年の時を経て復活したベスト。  旅行もままならないこの時期には、いつかまた、通販では買えないものを買うためにどこか外国へ旅したいな、などと考えながら、90年代とは違う着方と気分で楽しみたいと思っています。 <文/小林直子> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
小林直子
ファッション・ブロガー。大手ブランドのパターンナー、大手アパレルの企画室を経て独立。現在、ファッション・レッスンなどの開催や、ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』などで活躍中。著書『わたし史上最高のおしゃれになる!』など。
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