タカラジェンヌの五輪閉会式出演に賛否両論。誰がなんで怒っているの?
パラリンピックはこれからとはいえ、コロナ禍、強行された東京2020オリンピック競技大会もひとまず終了した。
注目度が高いものほど賛否両論に分かれるもので、否定派からもアスリートを責める意見はほぼなかったし(むしろ、アスリートに罪はないと誰もが思っていたと感じる)、彼らの体技には見る者に元気を与える力があったのは確かである。
オリンピック関係者にシビアーな目が向けられたのは開会式と閉会式。当初予定されていたクリエイティブスタッフが変更され、開催ギリギリで中心を担う人物の過去の言動が問題視され辞任騒動が起こり、ほんとうに開催されるのかハラハラしどうしだった。
はたしてどこまで最初から決まっていた演目とキャスティングで、どこまでがプラン変更したものなのか気になる中、たくさんのアーティストに混じって閉会式には宝塚歌劇団の生徒たち(宝塚では団員を生徒と呼ぶ)-タカラジェンヌ20人が劇団の礼装である緑色の袴姿で凛として登壇し澄んだ声で国歌を斉唱したことが話題になった。
タカラジェンヌの登場に関しての世間の反応は、ネットニュースをざっと見ると、「熱狂」「喝采」という肯定的な言葉もあれば「激怒」という言葉も。いったいどっちなんだろう。そして誰がなんで怒っているの?
宝塚に詳しくない人は素直に感動し肯定的。宝塚に詳しい人の一部は否定的。という感触である。世帯視聴率はタカラジェンヌの出た前半は46.7%(ビデオリサーチ調べ 関東地区)であった。
「熱狂」「喝采」などの反応は、宝塚の創設者・小林一三の遺訓「清く 正しく 美しく」をモットーに掲げるタカラジェンヌが袴で「君が代」を歌う姿がまさに「清く 正しく 美しく」で厳かな気持ちになったから。テレビの画面越しでも場が鎮まったように感じられた。開会式ではMISIAが多様性を表すレインボーカラーのドレスを着て国歌斉唱した。閉会式の宝塚は袴は礼装の緑に統一し、着物は青、黄色、ピンク、白、紫……と各々カラフルな色合い。白地に金や、色とりどりの華を散らした柄も様々で、こちらも多様性を表現していたように感じる。
タカラジェンヌは式典などのときは黒紋付に緑の袴で統一し(大正10年に統一されて以来の伝統)、ちょっと華やいだ場では着物は柄物を選ぶのだそう。国歌的イベントの大役とはいえ黒に緑でかしこまり過ぎることなくカラフルな着物で目を楽しませてくれるエンターテインメント精神が光った。
閉会式に出演したのは、花組から男役トップスターの柚香光、トップ娘役の星風まどか、男役スター・水美舞斗、永久輝せあ、娘役・音くり寿、男役スター・聖乃あすか、星組から男役トップスターの礼真琴、トップ娘役の舞空瞳、男役・愛月ひかる、男役・瀬央ゆりあ、娘役・有沙瞳、娘役・小桜ほのか、宙組、男役トップスターの真風涼帆、トップ娘役の潤花、男役・芹香斗亜、男役・桜木みなと、男役・和希そら、娘役・遥羽らら、男役・瑠風輝、娘役・天彩峰里の20人。
振り返れば、競技場建て替え問題にはじまりコロナ禍で一年延期とネガティブ要素満載で中止にすべきという意見まで出ながらも、結果的には国内の各媒体の調査では「やってよかった」と満足する声が半数を超える報道が散見される。テレビ放送の視聴率も高い。