Lifestyle

子宮頸がんが激増中。20-50代に多い女性特有のがんとどう向き合うか

子宮頸がんは若い女性にとって恐ろしい病気です。 10月1日、厚生労働省が、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の積極的勧奨再開に向けた議論を開始しました。現在は「定期接種」ですが、「積極的推奨を控える」という状態。小学校6年生から高校1年生までの女子が無料で接種できますが、接種券や予診票は届きません。 積極的推奨になると、「接種してくださいね」という告知が届くことになります。これでより多くの人が接種の機会を持つことになりそうです。
女性のがん

写真はイメージです

海外の研究では、接種年齢45歳まではHPVワクチンの効果が認められている(※)という報告もあり、大人も検討の余地はありそうです。

20-30代がん患者の80%が女性

この発表の少し前、9月7日に、「女性特有のがんの予防」をテーマに、セミナーが行われました(主催:がん対策推進企業アクション)。その内容の一部をご紹介しましょう。 「公益財団法人日本対がん協会によると、20〜39歳のがん患者の約80%が女性です」というのは、この講演で登壇した東京大学大学院医学系研究科・特任教授の中川恵一氏。 「とくに25歳以上になると、がんの罹患率が急激に増えています。これは『子宮頸がん』と『乳がん』の増加によるものと考えられています。がんは女性にとって、若いからといって決して他人事ではないのです」(中川氏、以下同)
女性のがん患者数

セミナー資料より

アンジェリーナ・ジョリーが遺伝子検査をした結果、卵巣がんと乳房がんにかかりやすい遺伝子を持っていたことから、2013年に乳房を、2015年に卵巣・卵管を切除したことは大きなニュースになりました。リスクを予め軽減できるのなら、そしてそれで安心できるのなら、選択肢として「アリ」なのでしょう。 でも卵巣や乳房の切除となると、たいていの人には、なかなか勇気も資金もありません。私たちにがんの予防はできるのでしょうか。
子宮頸がん

セミナー資料より

子宮頸がんとワクチン

「子宮頸がんは、ウイルスの感染によって起こります。このウイルスに感染しなければ、子宮頸がんにかかる可能性はとても低い。そしてそのワクチンはすでに開発され、世界中で接種されているのです。日本では子宮頸がんワクチンと呼ばれている、HPVワクチンです。 日本では『全身が痙攣するなどの重篤な副反応が出た』という報道があり(2013年)、それまで70%ほどだった対象者の接種率は一気に1%未満に減少。 しかしスウェーデンの研究チームによって、17歳未満の接種でリスクが9割低下したなどの高い予防効果が実証されました(2020年発表)。また、『名古屋スタディ』と呼ばれる大規模な調査で、ワクチンにより大きな副反応は認められなかったと発表されています」
次のページ 
がん検診の受診率がコロナで激減
1
2
3
4
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ