そしてしばらくしても、そのモヤモヤは晴れませんでした。
「そういえば先日、Nに靴下のたたみかたを注意されたんです。『うちではいつも、ゴムの部分をクルッと折り返して2足をくっつけてあるから、そうしておいて』と。私はそうするとゴムが伸びる気がして二つ折りにするだけなんですよ」
鍋の〆の件も靴下の件も、些細(ささい)な事ですし彼に合わせてもいいと思いましたが…本当にそれでいいのかと明奈さんは悩んでしまいました。
「もしかしたらNは私を好きというより、私をお母さんのコピーロボットみたいに育て上げて、実家にいる時みたいに楽に過ごしたいだけなのかも?という思いが止まらなくなってきて。そういえば、洗った食器の並べかたも注意されたなと思い出したり」
何だか急にNさんへの気持ちが冷めてきてしまい…。
「このままNと一緒に居るのはしんどいかもなと思っちゃったんですよね。鍋の〆の前まではとても楽しかったのに」
ひとりになりたくなった明奈さんは、こっそり彼の部屋を抜け出してタクシーで帰ってしまいました。
「翌日Nから電話がきたので、私の気持ちを伝えてみようかなとも思いましたが、また大声をだされたら嫌だなと思いやめてしまいました。大声だす男性、苦手なんですよね」
彼も明奈さんの気持ちの変化に気がついたのか、それから連絡がくる回数が減り、2人は自然消滅してしまったそう。
「結局4ヶ月位しか続きませんでした。今度はおたがい自然と歩み寄れるような恋がしたいですね」と、ため息をつく明奈さんなのでした。
続いては、彼氏が作ってくれた鍋きっかけで意外な展開になった女性の話です。