「最初はちょっと右足が痛いな……というくらいだったんです」
徒歩通勤生活も2ヶ月を迎えた矢先の出来事でした。右足の甲の部分にちょっとした違和感を覚えたそうです。ただ、昨今のコロナの流行によってどの病院も診察もままならない状況でなかなか診察を受けることはできませんでした。そのため、しばらくすれば治るだろう、と湿布を貼ってやり過ごすことにしました。
しかし、痛みはなかなか取れずにむしろ悪化するばかり。とうとう歩くのも辛い状態にまでなってしまいます。これはいけないと思い、あらゆる病院に電話をかけてようやく検査をしてもらえることになりました。
診察の結果、すみれさんはなんと「リスフラン関節症」の一種に掛かっていました。足の甲の骨の間にあるリスフラン関節付近に穴が開く症状で、すみれさんはかなり症状が進行していたそう。ネジなどでの外科的処置ではカバーできない状況のため、臀部の骨を移植する、3時間におよぶ大手術になってしまいました。
そこまでの大手術になると問題になってくるのが治療費です。もちろん、正規の通勤ルートではありませんから、労災を申請することはできませんでした。そのため、全て自分で支払うことになりました。しかし……
「実は生命保険を一時解約していたんです。婚約寸前までいった彼の浮気で別れる時に、保険も解約したんです」
健康保険のサポートはあったものの、それでも出費は余計にかさんでしまいます。ようやく退院できた時には貯蓄が底を尽きてしまいました。
「退院できたといっても、まだ完治したわけではありません。それなのに、新たにバイトでもしないと、とてもやっていけないほど追い込まれてしまいました。ほんとどうしたらいいか……」