かつて、夫婦間における性生活は、結婚という枠組みの中で営まれるのが当たり前だった。しかし、近年はそう考えない人が増えている。
一方で、目立っているのは性規範の緩みである。配偶者以外の異性と付き合っている人は男女とも増えており、2012年は2000年対比で2~3倍であった。携帯電話の普及でSNSなどを利用した新たな出会いの機会が増えたことも緩みに拍車をかけた。
ただし、そのあり方はさまざまで、必ずしも性行為を伴わない精神的な愛情関係も増えていると荒木代表は指摘する。背景には「たとえ配偶者以外の人と付き合って性的な関係があっても、家庭に迷惑をかけなけなければセーフ」という考え方の広まりがあるようだ。
それを裏付けるように、有配偶者に「自分が配偶者以外の異性と親密な付き合いをすることをどう思うか」を尋ねたところ、「性的な関係があっても、家庭に迷惑をかけなければかまわない」に男性は40代37%(2000年比1.4倍)、50代38%(同2倍)、60代34%(同2.6倍)が肯定。女性は40代16%(同2倍)、50代17%(同3.4倍)、60代12%(同4倍)であった。
セックスレスに対する自由記述では、男女間で意識の違いが見られた。
女性の主な声は次の通り。
「もともとセックスが好きではない」
「面倒くさい」
「感じていなくても、そのフリをするのが煩わしい」
「心が結ばれていないのに、体でつながるはずはない」
「3人目の出産を機に、興味が失せた」
「子どもが小さい時は、求めに応えられなかったが、手が離れて、いつでもできる状態になったのに夫が誘ってくれない」
一方、男性は、
「2人目の妊娠以来、まったくない」
「性交渉は単なる子づくりのためだったのか」
「(セックスレスになったことで)愛情の確認ができなくなったように感じる」
「更年期障害をきっかけになくなったが、戸惑いは大きい」
「肉体的には可能なのに、性交のない愛情はあり得るだろうか」
女性がどちらかというとクールに受け止めているのに対し、男性の声はほぼ、嘆き節と同調査はみる。