――関口さんの『真夜中のひとりたち』も男女の孤独が描かれ、何とも言えない余韻が残る作品でしたが、ご自身はどんな瞬間に孤独を感じられますか?
小森:常にですからね。
関口:孤独が悪いものだとは思いません。コロナ禍になって、自分と向き合うことや、自分の将来のために費やす時間がもの凄く大事だなと感じているからです。
――コロナ禍真ただ中で撮影されたと思いますが、このコロナ禍でお2人のライフスタイルは変化しましたか?
小森:そうですね、大分変わりました。人との付き合いが少なくなりました。以前は人と関わることが容易な時代でしたが、コロナ禍では家族、親友や仕事の仲間でさえも会うことが難しくなりました。自分の中で選択を迫られる瞬間がもの凄く増えて、自ずと何を優先して、何を優先しないか。
今まで時間は無限のように感じられていましたが、時間は有限だよと感じて。緊急事態宣言中は、お店が20時までで、仕事があれば、ご飯は行けないですし、ご飯に行きたいなら、仕事は出来ません。仕事と友達、どっちを選ぶのかという選択が増えてライフスタイルや価値観はすごく変わりました。
――関口さんはいかがですか?
関口:僕も同じでライフスタイルは変わりましたし、ひとりの時間を作るようになりました。そういう選択をしたことによって、人はひとりじゃ生きられないという大前提の下、自分のことは自分でやれるようになるのが大事だなと。
これまでないがしろにしていたことや考えなかったことなど、自分の身の回りのことに向き合えるようになりました。そして孤独になった時に改めて人に優しくなれるなと思いました。他の人に求めない、攻撃することもないし、人の意見をより尊重出来るようになったんです。
小森:カッコイイ。
――コロナの時代、今この作品を観る意味を込めて観客へメッセージをお願いします。
小森:偶然ですが、6作品とも誰かを思う作品になっています。全部角度が違うんですが、この映画を観に行った時に、頭の中に思い描いた人、思い浮かんだ人にコミュニケーションを取ってほしいなと思います。
選択を迫られる時代、今まで出来たことが出来なくなって、会えていた人も普通に会えなくなったと思うので、だからこそ何を大事にするかという自分の芯の部分が多分見えてくると思うんですよ。もしかしたら、恋人のことを思うかもしれないですし、家族のことを思うかもしれないですし、仕事の上司のことを思い出すかもしれないです。自分だけじゃない誰かを大切にして観ていただけたら、嬉しいです。
関口:それぞれの作品に色があって、どれも素晴らしい作品です。6作品を通じて言えるのは、今まで見られなかったメンバーの表情やお芝居です。今しか出来ないことで特別な作品になっていると思うので、これが残っていく作品であってほしいですし、これをご覧になった方が、それぞれ色んな感情を持ち帰っていただけたらなと思います。
<取材・文/加賀谷健 撮影/山川修一>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修
俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:
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