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菅田将暉の王道イケメンではない魅力。独走状態を助けた“ある人物の言葉”とは

 2021年11月15日、映画『ディストラクション・ベイビーズ』(2016)以来、3度の共演経験のある菅田将暉と小松菜奈が結婚を発表。美男美女の俳優夫婦の誕生に、日本中が祝福ムードに包まれた。
 さらに菅田がパーソナリティを務めるニッポン放送『菅田将暉のオールナイトニッポン』(ANN)12月20日深夜放送では、2022年3月をもって同番組を卒業することを明かした。アラサーに突入した身体に深夜帯での生放送はきつく、俳優業を優先しての大きな決断であるようだ。  それだけに俳優としての実力は名実ともにピカイチの菅田。彼が俳優業に込める役者魂とは……。「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、ANN降板ニュースよりも衝撃を受けたある主演作を取りあげながら、俳優・菅田将暉の魅力を改めて解説する。

王道イケメンとは違う菅田将暉の独特な雰囲気

 菅田将暉は、独特の雰囲気を持っている。顔は確かに整っているが、かといって山﨑賢人や横浜流星のような、いわゆる王子様系の王道イケメンとは少し雰囲気が違う。というか、2009年に平成仮面ライダーシリーズ第11作『仮面ライダーW』(テレビ朝日)で、シリーズ最年少でライダー俳優に大抜擢された頃の菅田は、間違いなく王子様系でピチピチのアイドル的俳優だったが、それがいつの頃からか、明らかに様変わりした気がする。  菅田には、どこか翳り(かげり)があるように思うのだ。だがそれは、『MEN’S NON-NO』専属モデル時代の成田凌が持っていた鬱屈としたアンニュイな印象とは違い、輝く瞳の奥に底冷えのする翳りを宿している印象がある。  菅田が帯びるそうした翳りの雰囲気は、俳優としての凄みをちょうど増し始めた時期の作品と重なる。多くの若手俳優が単なるイケメン俳優からの脱却に苦戦する中、菅田は毅然とした表情で実力を着実に伸ばしながら、俳優としての存在感をどんどん強めていった。菅田ほど、伸びしろのある俳優も珍しいだろう。

2016年からの独走状態

『帝一の國』DVD(ポニーキャニオン)

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 2014年、NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』で菅田が演じたしっかり者の西門泰介役がお茶の間の好感を得た。2016年は、『ピンクとグレー』、『ディストラクション・ベイビーズ』、『セトウツミ』など9作もの話題映画作品に出演。『キセキ -あの日のソビト-』、『帝一の國』、『あゝ、荒野』、『火花』の映画4作品に主演した2017年は、大躍進の年となった。  さらに、俳優デビュー10周年を迎えた2019年には、アルベール・カミュの戯曲『カリギュラ』に舞台出演し、カミュが生涯テーマとした不条理に打ちひしがれる孤高の皇帝カリギュラを熱演。これが高く評価され、第27回読売演劇大賞・杉村春子賞受賞の名誉を受ける。  ここまでの実績を残せば、単なる若手イケメン俳優とは呼べないのも当然だ。名実ともに日本を代表する演技派の底力を見せる菅田のほとんど独走状態。誰もその勢いを止めることはできない。では、菅田はなぜここまでの飛躍を遂げたのか。俳優・菅田将暉の才能と恐るべき伸びしろを助長させた背景には、ひとりの名監督の存在が決定的であったと筆者は考えている。
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映画『共喰い』での凄まじい演技
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