「転んだ私に彼は手を差し伸べてくれしたが、頭の中ではガ~ン!って効果音が鳴り響いていました。しかも、『柔道やってたの?』って聞いてくるし、このときは本気で終わったと思いました(苦笑)」
この期に及んでウソはつけないと諦め、「う、うん……」と認めましたが、予想に反して「いやぁ、受け身を見た瞬間、絶対素人じゃないと思ったんだよね」となぜかハイテンションで言われます。
実は、彼氏は大の格闘技マニア。総合格闘技の試合を観戦したり、一時期は趣味でキックボクシングのジムに通っていたこともあったほど。そのため、自分の恋人が柔道経験者だと知って、逆に喜んでしまったのです。
「格闘技好きとは聞いていたので知っていましたが、2人の会話にほとんど出ることはなかったし、そこまでのマニアとは思いませんでした。このときは仕事前だったのですぐに別れましたが、この日の夜に彼がウチに来て、そこで質問攻め。最初は嫌われなくてよかったと思いましたが、あまりにいろいろと聞いてくるから逆に私が引いちゃいました」
なかでも面倒だったのは「試しに関節技をかけてほしい」とお願いされたこと。仕方なく彼氏の肩を足でホールドしたままヒジの関節を逆側に伸ばす「腕ひしぎ十字固め」を披露。引退して何年も経っているとはとはいえ、そこは有段者。これにはたまらずすぐにギブアップしてきたといいます。
「せっかくウチにお泊りに来たのに、結局ベッドの上で寝技をしただけで終わり。本人は満足してたからいいんでしょうけど、さすがに複雑な気分でした。まあ、今は結婚して夫婦ですし、彼に『妻には勝てない』と身体に覚えさせる機会になったのはよかったですけどね(笑)」
思わぬアクシデントで秘密を知られたのは災難でしたが、結果的に夫婦の力関係をはっきりさせることができたのはよかったのかもしれませんね。
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<文/トシタカマサ イラスト/朝倉千夏>
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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。