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NHKテロップねつ造問題で河瀬監督の責任を問う声も。問題の核心とは

「音声なしでテロップのみを流してすませる」姿勢が問題

そもそもこのテロップが事実と異なるものだったということが発覚したのは、疑問を持った視聴者だった。彼ら彼女らの「こんなことが本当にあるのか」という疑問がインターネット上で議論を巻き起こし、NHKに対する問い合わせへとつながり、それがNHKを突き動かして、改めて事実を確認するに至った。 この点において、番組制作者よりも一般視聴者の方がはるかにニュースへの感度や真実に迫る姿勢があったといえよう。 TV テレビ視聴者 見る事実と異なるテロップの付与が故意によるものなのか、過失によるものなのか、それが前者であれば「捏造」ということになり、後者であれば、後日NHK幹部が会見した通り、「思い込みによるミス」ということになろう。しかし、それよりも前に「音声なしでテロップのみを流してすませる」という姿勢に問題があったのではないだろうか。 NHK大阪拠点放送局の角英夫局長・専務理事の説明によれば、BS1の番組であり、また映画監督の取材という比較的やわらかいテーマの番組であったことからチェックが甘かったという。しかし、放送前の局内での試写会が行われているのだから、「事実を確かめる」ということはもちろん、「なぜテロップですませてしまうのか。もっと掘り下げなくて良いのか」と誰かが指摘すべき事案であったという感は否めない。

タテ割りの組織の中で

この騒動の後、NHK局内ではなぜこのようなことが起きてしまったのか、500人規模のオンラインミーティングが行われたとのこと。 週刊文春(1月13日発売号)にてすでに報じられた通り、この番組の担当ディレクターは、いわゆるドキュメンタリー制作のプロではなかったとのことだが、筆者の取材によれば、ミーティングで行われた議論では「報道のプロ、ドキュメンタリーのプロが番組を制作すればこのようなことはなかった。経験の少ない者が起こした軽率なミス」という組織論的な話になったという。
(画像:NHK大阪放送局公式サイトより)

(画像:NHK大阪放送局公式サイトより)

しかし、このミーティングに参加したNHKのスタッフは「この横の連携がないことこそがNHKが報道のダイナミズムを失っていることの証」と残念そうに語った。社会部や政治部の記者に声を掛けて、協力し合って取材を続ければもっと違った展開になったのではないか、と。 確かにこの番組はBS1での放送であり、地上波の報道番組の枠で放送されたものではないことから、制作過程において、社会部、政治部といった記者との交流は少なく、「五輪のデモで金銭を受け取った人がいると聞いた」というような話をする関係ではなかったのかもしれない。 しかし、セクションを越えて日常的にそのような話をする関係ができていたら…。 このような事実誤認はなかったことはもちろん、「五輪とデモ」というテーマで取材を続ける中で、番組に登場した男性以外の人にも話を聞くなどして、五輪の新たな側面を掘り下げることができたのではないか。 外部の組織の人間からは確かなことはわからないが、今回の騒動を「1人のディレクターの経験の浅さ」に帰着して片付けることは早計と言うべきであろう。
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河瀬監督の責任を問う声が多いが…
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