サヨコさんにとって初めての男性だった。彼が気づいたかどうかはわからないが、ふたりは定期的に会うようになった。
「だけど奥さん、たぶん怪しいと思っていたんでしょうね。ストレスからなのか早産してしまった。その日、彼と私、一緒にいたんです。彼は携帯を切っていて病院に行くのが遅くなり、大騒ぎになったそうです。私、怖くなって彼から逃げました。
その後、彼は離婚したそうです。奥さんは彼の不倫相手を特定しようとしたけど、結局、彼がかばってくれたんでしょう、私は特定されずにすみました」
自分だけ逃げてしまったことを、サヨコさんは悔やんだ。だが、このときのある意味での成功体験が、彼女を次なる不倫へと駆り立てた。
「その後も、好きになる人は結婚している人でした。不倫をしたかったわけじゃないんです。ステキだなと思う人が結婚していた」

社会人になって2年目、社内他部署の先輩とこっそりつきあい始めた。その先輩も30代半ばで、幼児と産まれたばかりの子がいた。
「妊娠中とか、小さい子がいる結婚7、8年目あたりの男性って、恋愛したがっているのかもしれません。まだ若いし、周りを見れば独身だっている。でも自分は家庭におさまっている。それに反抗したいような気持ちがあるんじゃないですかね。そういう男性を見ると、ちょっと揺さぶりをかけたくなるんです。どうしてかはわからないけど」
その先輩との関係は長続きしなかった。彼が「罪悪感にまみれてしまって、一緒にいても楽しくなかったから」だという。
今もサヨコさんは10歳年上の仕事関係で知り合った既婚者とつきあっている。すでに1年を越えたという。