
(画像:筑波大学付属駒場中・高等学校公式サイトより)
しばしば混同される筑駒(ツクコマ)とは、いわば同じ系列校です。2校はどちらも国立の中高一貫校で、生徒たちの自主性を尊重した自由な校風だという点は共通しています。
たとえば、筑附では「自主・自律・自由をモットーとする」という教育方針のためか校則はゆるゆる。原付バイクでの登校禁止、校内でのスケートボード使用禁止、麻雀禁止などを除いた校則はほぼないに等しく、服装面も規定はありません。ピアス・茶髪で登校する者や、ハロウィンの日には教室で仮装する生徒もいるほどです。
筑駒についても同様に、校則はあってないようなもの。ただ、筑駒は男子校で筑附は共学という違いがあります。また、東大への進学実績にも大きな差があるのは否めません。
東大合格者数で全国でも三本の指に入る筑駒の進学実績(2021年)は、以下の通りです。
・東大89名
・京大1名
・旧帝大+一工8名
・国立大(旧帝大+一工を除く)23名
・早慶上理ICU163名
一方、悠仁さまの進学の筑附の進学実績(2021年)は下記の通り。
・東大29名
・京大8名
・旧帝大+一工27名
・国立大(旧帝大+一工を除く)23名
・早慶上理ICU247名
開成や日比谷、渋幕と比較しても、東大への進学実績という面ではやや物足りない印象を受けます。実際、「学校側が積極的な受験対策をしてくれるわけではないため、難関大を目指すなら塾に通うなど、自主的に勉強を頑張らなくてはならない。男子は3分の2、女子は半分が浪人する」と語る卒業生も。
とはいえ、授業の質が低いというわけではありません。
筑附では1、2年次の授業は全て必修。進学校によくあるような3年次の文理のクラス分けはなく、3年生になると生徒の興味や関心に応じてさまざまな授業を選択できるようになっています。グループディスカッションなど双方向の授業も多く、まるで大学のよう。このように、それぞれの個性を伸ばす、いわゆる「お勉強」の枠から外れた教育が特徴なのです。
その分、東大をはじめとする難関大へ進めるかどうかは、本人の自主性に左右されるということでしょう。
OBである星新一が遺した「学問のもとは、好奇心。好奇心を育てるようにしておけば、優れた人物も自然に育ってくる」の言葉の通り、生徒の抑えられない好奇心に応え才能を育てる。それが筑附という学校なのかもしれません。
<文/小泉ちはる>