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濱田岳が子役時代に故・蟹江敬三にかけられた“忘れられない一言”

高みを見て登っていないから、難所もない

IMG_8788――くじけそうなこともありましたか? 濱田:スタートがそんな感じだったから、「故郷に錦を飾るぜ!」と東京へ出てきた方たちの努力の量と、僕の努力の量は雲泥の差だと思うんです。なので、壁に当たる経験もしていない。そもそも高みを見て登っていないので、思わぬ難所も来ないんです。 ――今回の声優のように、普段のお芝居とは違う仕事が来たときにひるんだりは? 濱田:今回の劇場版『DEEMO サクラノオト』もそうなのですが、普段あまりやったことがないようなオファーは、ちょっとドキドキはするけれど、客観的に観たら喜ばしいことだなと思ってチャレンジしました。  たぶんみなさん同じ意見だと思うのですが、やったことがないことは誰でも最初は「エッ!」「できるかな?」となると思うんです。でも職業柄、最初のチャンスは1回きり。チャンスをもらえたことが素直にうれしくて、「僕でよければチャレンジさせてください」という思いになりますね。

役者の仕事は、就職と失業を繰り返すようなもの

濱田さんが演じた「ミライ」

濱田さんが演じた「ミライ」

――「壁に当たる経験をしていない」とのことですが、それでもやはりプレッシャーなどは大きい世界ですよね。 濱田:続けてきてなんとなく思うのは、僕らの仕事はその都度、就職して、その都度、失業することの繰り返しなような気がするんです。現場ごとに就職する、撮影が終わればまた無職。その繰り返しなので、お別れのセンチメンタルな悲しさもあれば、恐怖に似た感情もある。それがツラい部分ではありますが、この仕事でしか味わえない魅力のひとつかなとも思います。 ――なんだか、達観した印象も受けます。 濱田:なんでしょうね(笑)。これも9歳までさかのぼるのですが、THE BLUE HEARTSの影響が大きいです。当時、視聴率が悪いと言っても15%とか普通にとっていた時代で、テレビドラマに出ると露骨に世界が変わるんですよね。街を歩いていると、通り過ぎる方に「あっ!」と言われ、同じ学校の生徒たちが好奇の目で見てくるようになる。言っても子どもですから、それがとても居心地が悪かったんです。「チェ」って気持ちになっていた。  その時にTHE BLUE HEARTSが聴こえてきて、興味を持ってレンタルショップに行って借り漁って。小学生なんですけどね(笑)。曲を聞くと「いいじゃないか、お前はお前で」と言ってくれているような気がしたんです。そこから一瞬で、くさくさした小学生じゃなくなった。誰かのサイズに合わせて自分を殺すことはないと思えた。ヒロトにとっては、それは死を意味するのかと。そういう歌詞が岳少年には響いて、僕は僕らしくいようと。 ――9歳のときのさまざまな原体験が基礎になっているんですね。 濱田:そう思います。もう33歳なので「当時とまったく一緒です!」ということではありませんが、あの少年が頑張ったおかげで今があるんだなと、ちょっと思ったりします。「自分、よく頑張った!」という感じではなく、あの少年が頑張ったから今僕は生きているのだなと思うんです。何だかヘンな感じがしますが、今こうして振り返るとそう感じますね。
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濱田岳が“大師匠”と呼ぶのは…
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公開情報
DEEMO サクラノオト -あなたの奏でた音が、今も響く-』は2022年2月25日より公開中

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