一方で、マスクを“コンプレックスを隠す必須アイテム”として活用するケースもあります。高校2年生と大学1年生の娘さんを持つ玉置結衣さん(40代・仮名)にお話を聞いたところ、
「
私の子どもたちは、もうマスクなしでは生活できないかもしれない」と、なんとも衝撃的な言葉が返ってきたのです。
「生活できないと言うと大げさかもしれませんが、新型コロナ流行の真っ只中で高校生、大学生になった
娘たちは家の中でも外でも寝るとき以外ほとんどマスクをつけています。外ではウイルス対策のために強制されるし、家の中でも家庭内感染が怖いからなるべくつけていて。そして寝るときは保湿のため……って。
それに、上の子も下の子も歯並びにコンプレックスがあって、
矯正しても納得がいかないらしくって。顎の形や鼻が丸いことなども気にしているようで、それを隠すためにマスクは手放せないみたいなんです。一度高校生の娘から『整形がしたい』と相談を受けたんですが、なかなか気持ちよく応援はできなくて。思春期の過敏な時期ということもあって、必要以上に気にしているんだと思います」
そしてさらに、高校生の娘さんはマスクで顔を隠すことに執着するようになったとか……。
「
今では母親の私ですら、マスクをとった娘たちの素顔をしばらく見ていません。でも、怖いのはマスクが必要ない時代になったとき、素直に整形したいという娘の気持ちを応援できるかどうか……。コンプレックスを隠すことで今は耐えている娘の気持ちを考えると、マスクなしの生活を受け入れられるかも心配です」
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感染症対策だけでなく、多くの人の心やコンプレックスを包んで覆い隠して、守ってくれているマスク。頼ってしまう気持ちもわかるし、その危うさも分かります。その中でもゆっくりと、適度な距離感と使い分けをなんとか心掛けたいものですね。
―シリーズ「
新しい生活様式がしんどい」―
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<取材・文&イラスト 赤山ひかる>
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赤山ひかる
奇想天外な体験談、業界の裏話や、社会問題などを取材する女性ライター。週刊誌やWebサイトに寄稿している。元芸能・張り込み班。これまでの累計取材人数は1万人を超える。無類の猫好き。