吉田美津子さん(仮名・30歳・主婦)の場合。
「特撮オタクの夫(44歳・会社員)の影響で私も『ウルトラセブン』にハマってしまったんです。そしたらある日、ネットでとんでもなく素敵な傘を発見してしまったんですよ」
それは、傘の内側にウルトラセブンに出てきた全ての怪獣が隙間なくぎゅうぎゅうにプリントされているものでした。
「外側は黒いので一見普通の傘に見えるところも気に入っていて、さしている私だけ怪獣のプラネタリウムの中にいるような気分になれる、最高の傘なんですよ」
美津子さんはそれまで傘に執着などなく、主にビニール傘を使用していました。
「傘を持つのもあまり好きではなかったし、よく電車の中やお店に忘れてきちゃうし、ずっとどうでもいいって思っていたんです」
ですが初めてお気に入りの傘を手に入れてから、考えが変わったそう。

「大切な傘はまずどこかに忘れたりしないし、どうでもいいと思っているから無くすんだなと思いました。持ち歩くのも以前みたいに苦じゃないし、むしろ好きになりました」
しばらく雨が降らないと、美津子さんは部屋の中で傘をさしてうっとり怪獣達を眺めます。
「そんな私を見て夫は笑っています『はやく雨が降るといいね』と」
お気に入りの傘のおかげで、梅雨の時期が楽しみになった美津子さんなのでした。
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<文・イラスト/鈴木詩子>
鈴木詩子
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
@skippop