旅行二日目を迎えるも、虫に夢中になってしまった彼氏のせいで、すでに旅行どころではない心持ちの麻里さん。そんななか、洗面台の鏡に映った自分の顔に驚愕します。
「
目の上を虫に刺されていて、赤く腫れあがっていたんです。外出の際に刺されたんだと思います。よりによって顔を刺さなくても……と痒みと悲しみでいっぱいでしたが、その日はお昼から近所のお祭りにいく予定だったので、気持ちを切り替えて準備しました」
この日のために新調した浴衣に着替えた麻里さんは、朝方クワガタの収穫を終え、部屋に戻って熟睡中の彼氏を起こそうとしました。
今夜こそカップルらしい旅行気分を味わえるようにと期待し、コーヒーを淹れていると、半分寝ぼけた彼が起きてきました。
目をこすりながら麻里さんのことを二度見した彼は…
「
何?その顔…浴衣にその腫れた目はオバケじゃん!」
「
やばくね?」
と、彼氏。
「彼のその言動に、何かがプチンと切れてしまって、気付いたら彼をビンタしていました」
彼氏の虫取りに付き合って刺されてしまったというのに、心配も謝罪もなく無神経な発言をされ堪忍袋の緒が切れてしまった麻里さん。腫れた目と激昂した麻里さんの形相を見た彼氏は、しばらく固まっていたそう。
たしかに麻里さんの怒りはわかりますが、ビンタという力技ではなく、言葉で怒りを説明するべきだったかもしれません。