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給食は地獄だった…「感覚過敏」をもつ高校生が語る苦悩。大人にできることとは

大切なのは「それぞれの感覚を認め合うこと」

『感覚過敏の僕が感じる世界』(日本実業出版社)

『感覚過敏の僕が感じる世界』(日本実業出版社)

──本書で解説を寄せている兵庫教育大学准教授の小川修史先生は、「感覚過敏は周囲から認識することが難しく、『なまけている』や『わがまま』ととらえられることも実際に多くあります。結果的に自己肯定感や自尊心が低くなり、不登校などにつながるケースがあります」(『感覚過敏の僕が感じる世界』P97より)とつづっていましたね。 加藤:そうですね。感覚過敏によって、日常生活を送る中で大きなストレスを感じたり体調変化が激しく、将来に不安を覚える方も多いと思います。だからこそ、感覚過敏を理由にやりたいことを諦めるのではなく、自分なりにできる方法を探っていってほしいという思いから、この本を書こうと思い立ちました。 ──加藤さんは、給食や制服についてなど、学校生活を送る上で感じた困難さを取り上げています。また「食事はみんなで楽しく」といったような、“幸せの画一化”の問題点にも焦点を当てていますよね。 加藤:はい。実際に、感覚過敏の子どもを持つ親御さんが抱える悩みを聞いていると、学校生活に上手く適応できないといった内容がとても多いです。みんなに同じ行動を求める体制は、特に感覚過敏の人たちにとって多くの困りごとを生む原因になってしまうと思います。  そんななか、自分の五感について自覚的になろうという“センサリーフレンドリー”、また人それぞれ異なる感覚の多様性を認め合う“ニューロダイバーシティ”といった価値観が重要になっていくのではないかと考えています。  僕もみんなと同じことを楽しめるものなら楽しみたいという気持ちはありつつ、例えばみんなと同じメニューの給食を食べることを強制されて、食事が“義務”になってつらいものになってしまった経験もあります。それぞれの感覚を認め合う体制にすることで、みんなが過ごしやすい環境になるのではないかと思います。

困りごとに対し“新しい道”を提示してくれた大人の存在

katohsan_01978──これまで周囲が取った行動により、加藤さんの抱える困りごとが軽減された経験はありますか? 加藤:感覚過敏によってできないことや苦手なことが多いからこそ、やったアクションに対してポジティブな反応をしてもらうことで「またやってみよう」という意欲が高まった気がします。  また何かしらを押し付けられるということは誰しもにとってつらいことですから、できないものを強制されることは、感覚過敏の症状をより助長させる原因になってしまうと思います。なので「やらせる」ではなく、共同作業といったやり方を取ってもらうほうが気がラクになります。 ──幼い子どもは特に、自分の抱える困りごとについて言語化できないケースが多いからこそ、周りの大人たちの理解と柔軟な対応が求められるのですね。 加藤:そう思います。「誰しもができて当たり前」とされていることが感覚過敏を持つ人にとっては当たり前ではないこともあるので、それぞれの中で常識を問い直しながら接する必要があります。  例えば僕にとって、食べられないものを提供される給食の時間は地獄でしかなく、給食を理由に学校に行きたくなくなってしまったほどでした。そういったなかで、担任の先生が校長先生に交渉してお弁当の持参を許可してくれたことがありました。  他にも保健の先生が、それまで知らなかったデジタル耳栓の使用を提案してくれたおかげで、教室の雑音からくる不快感が軽減されたこともあります。  このように、それまで常識とされていたことに対して今までとは違う新しい道を提示してくれた人たちの姿勢を通じて、固定観念を壊すということに“より快適な暮らし”の秘策がある、という価値観を発見することができたように思いますね。 <取材・文/菅原史稀>
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