風呂なし物件や“銭湯のある暮らし”を提案するための物件サイト「東京銭湯ふ動産」。
一方、住むなら都会がいいという人も多い。それなら「風呂なし物件」という選択肢もある。「東京銭湯ふ動産」の運営をしている鹿島奈津子氏は、「近場に銭湯のある風呂なし物件は、意外にも若い世代から人気」と話す。
「弊社が紹介する風呂なし物件は、昭和40~50年代前半に造られた“築古”が多く、広さは4畳半のトイレ共用で家賃も3万円台前半。3万円台後半なら専用トイレとキッチンがついた1Kの部屋もあります。銭湯代を合わせても5万円台と、相場よりかなり安いです」
もともと銭湯好きだという野口さん。風呂なし、銭湯通いは、苦手な風呂掃除の手間が省けて一石二鳥だという
建築設計事務所勤務の野口新さんも、半年前に風呂なし物件に引っ越した若者の一人。住んでいる部屋は、世田谷区で駅まで徒歩5分。6畳和室にキッチン・トイレつき、水道代込みで家賃が月3万8000円だという。
「以前は実家から2時間半かけて通勤していて、平日は家に帰って寝るだけ。今は職場まで自転車で15分なので、体力的にラクになり仕事にも集中できます。
仕事帰りに銭湯に寄って広い湯船に漬かれば、日々の疲れも癒やされますね。銭湯通いで外出の習慣ができたのも意外なメリットでした。銭湯ついでに散歩するなど、実家にいたときは引きこもりがちだった休日も充実するようになりました」
部屋が手狭でも、銭湯をはじめ近場にテリトリーを増やせば、快適に暮らすことができるのだ。