Lifestyle

「コロナ給付金をもらえなかったので、納税のため借金まで」苦悩する性風俗店経営者

性風俗業が国家公認で差別を受けてもいい業種にされてしまう

――今回の判決の一番の問題点を挙げるとしたら? 「『貰えなかったこと』よりも『除外されたこと』が一番の問題のように思います。これを職業差別だと感じるのは、当事者だけではないはずです。 それなのに、裁判をとおして国は『国民の理解が得られない』と国民感情に結び付けました。国も裁判官も簡単に『国民』ということばを使っていますが、実際に調べたんでしょうか。性風俗業に対する差別意識から出てきた言葉では?この裁判は実態について何も知らず、何も調べずに進んでいるのではないかとすら感じます」 持続化給付金 コロナ禍――先ほど出てきた「不健全」という言葉もそうですが、当事者目線でみると随所に引っかかりを感じる判決だったと。 「この判決は、性風俗業が国家公認で差別を受けてもいい業種にされてしまう可能性を秘めています。それは経営者やスタッフ、キャストだけに留まらず利用者をも否定することになります。 特に『レズっ娘』は女性同士という点にも偏見の目が向けられやすいという二重構造。国が『不健全』とレッテルを貼ることで利用した自分を責めるお客様が出てきてもおかしくありません」

判決で業務の適正化や健全化ができない業種と決めつけられた

――今後、風俗業界はどういった方向に進むべきだと思いますか? 「これを機に風営法を業務の適正化や健全化を目的としたものにしないと駄目なのではないでしょうか。 ただ今回の判決では、それができない業種であるとハッキリと決めつけられてしまったので、裁判も変な方向に向いているように感じます。と同時に、僕は引きつづき悪質店の注意喚起とウチの店の健全化を継続していきます。 これから先、性風俗事業が職業として認められれば、職歴として堂々と書けるようになるかもしれない。ご利用されるお客様も在籍するキャストも、少しでもうしろめたさがなくなるような社会になってほしい、と切に願いながら、裁判の行方を見守ります」 <文/もちづき千代子>
もちづき千代子
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:@kyan__tama
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ