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ゾクッ!さびれた温泉地の夜道、妙な気配を感じて振り返ると…

かすかな声に聞き覚えがあった

するとガサガサ音の中で微(かす)かに「刺身、わさびいらな…」と聞こえてブツッと電話は切れてしまったそう。 「その声にピンときちゃったんですよね。昨年までよくテイクアウトの刺し盛りを電話予約してから来てくれるおじいちゃんがいたのですよ。そういえばいつの間にか来なくなったんですよね」 刺身盛り合わせそのおじいちゃんは、美帆さんのお店のお刺身が大好きで、毎回電話予約の度に「刺身の盛り合わせ、わさびはいらないから」と言っていたのを思い出しました。 「店長にその話をして、急に懐かしい気持ちになってしまった私達は、そのおじいちゃんに『お元気ですか?よかったらまたいらしてくださいね』とハガキをだしてみることにしたんです。季節のダイレクトメールを送るのに住所は聞いていたので」

おじいちゃんの息子に話を聞くと…

すると数日後、おじいちゃんの息子さんがお店にやって来て「昨年、父は亡くなりました。寝たきりになって固形物が食べられなくなってからも『あの店の、美味しい刺し盛りを買いに行きたい』と何度も言っていました」と涙ぐみながら刺し盛りを買って帰ったそう。 「きっとあの電話は、あの世からお刺身盛り合わせを注文しようとかけてきてくれていたのかな?と、いつも嬉しそうにお刺身を持って帰っていたおじいちゃんを思い出して、胸が苦しくなりました」 息子さんが買って帰った刺し盛りで満足できたのか、それ以来無言電話はかかってこなくなったそうです。 【他のエピソードを読む】⇒「実録!私の人生、泣き笑い」の一覧へ 【あなたの体験談を募集しています!】⇒心がほっこりした「ちょっといい話」、ありえない!「びっくりした話」「ムカついた話」、人生最悪の恋愛を募集中!(採用時に謝礼あり)ご応募はここをクリック <文・イラスト/鈴木詩子>
鈴木詩子
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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