・ロコモティブシンドローム(運動器不全)
加齢による運動器不全=ロコモとは異なり、姿勢不良や運動不足による「子どもロコモ」が増加中。転びやすい、骨折しやすいといった傾向があり、子どもの骨折数は増え続けている。幼少時から腰痛を訴える例も
予防策…骨盤を立てる正しい姿勢に改善し、ロコモ体操(肩甲骨を動かす胸郭運動+つま先立ちでの体前屈+スクワット)を推奨。一日1時間の運動が理想
・近視・スマホ老眼
加齢による視力低下と異なり、スマホでの動画視聴を繰り返しすぎて近視になる子どもが増加。長時間視聴でピント調節機能が低下する「スマホ老眼」になるケースも。視力・調節機能低下は集中力低下を伴い、学力にも影響
予防策…スマホ利用時間を一日1時間に制限するのが理想。利用時は30分に一度、遠くのものを見るようにして目を休める。一日2時間、外で遊ぶようにすると◎
・生活習慣病(脂肪肝・高血圧ほか)
家庭用ゲームの進化、コロナ禍での運動機会の減少で、生活習慣病を患う子どもが増加。十河医師によると「無料健診を受診した子どもの半数に脂肪肝が見られた」。放っておくと血圧上昇を経て動脈硬化、糖尿病に発展する可能性も
予防策…肥満児童には食事制限が必要(栄養士の助言をもらうのが理想)。運動時間は一日60分以上。子どもに歩数計を持たせて毎日2万歩達成を目指すのがよい
老化に似た症状以外にも、近年、多くの子どもに見られるようになった症状がある。
「急性内斜視になる子どもが増えています。原因は、やはりスマホ。長時間、手元のスマホを凝視しすぎて、黒目が内側に寄ってしまうのです。斜視は高齢者にも見られる症状ですが、高齢者の場合は目の筋肉の衰えにより、外斜視になるのが一般的」(平松医師)
同じく、スマホの普及に伴い、顎関節症を発症する子どもが増えているという。
「猫背で頭を突き出した姿勢で長時間スマホを凝視していると、少しずつ下顎の骨が下がっていき、歪んだ状態で歯を食いしばるようになります。その結果、若くして顎関節症になり、頭痛やめまい、腰痛、肩こりといった副症状が出る子どももいます」(林医師)
コロナや生活環境の変化が影響しているのか、「アレルギー体質の子どもや精神疾患を発症する子どもも増えている」(小児科看護師)という。
<取材・文/吉岡 俊 池垣 完(本誌)>