実写化王子、ないしは実写化の化身としての栄冠の裏では、今回の『ゴールデンカムイ』同様に、必ず原作ファンからの容赦ない批判や批評を受けてきている。それでも彼には実写化を体現するプライドがある。言わば、実写化俳優としての戦いの歴史そのものが、一大スペクタクルというか、まばゆい輝きを放つ奮闘史として日本映画史に刻まれている。
では、歴戦をくぐり抜けてきた山﨑が、今どんなフェーズに入ったのかと考えてみる。毎週日曜日よる9時から放送されているTBSドラマ『アトムの童』では、デビュー以来、彼のスタイルになっている自然体の演技により磨きがかかっている。そこに大きな話題として放り込まれたのが、『ゴールデンカムイ』主演への内定だった。

映画『キングダム2 遥かなる大地へ』公開記念特別展示が、2022年7月15日から8月18日までソニーストア銀座で開催された(画像はリリースより)
『斉木楠雄のΨ難』(2017年)公開後、2本の実写化以外の作品を挟み、『キングダム2 遥かなる大地へ』が今夏に封切られたばかり。同作に続く映画作品が、こうして実写化作品になることは、山﨑のキャリアにとってそれなりの意味を保つんじゃないかと思う。いやむしろ、筆者が思うに、山﨑は再び実写化作品に活路をみいだし、そこから“第二期の黄金期”に入ろうとしているのではないだろうか。
第一期が実写化王子の異名を取ったなら、第二期ではよりスケールアップした正真正銘の実写化の化身となる。思えば、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(2017年)でのあの忘れがたい力強い眼差しの演技に、主人公・東方仗助が憑依した化身的な雰囲気がすでに感じられた。
2020年代は、『ゴールデンカムイ』実写化主演を契機に、実写化の化身・山﨑賢人が第二期の黄金期へ入り、実写化ラッシュの大きな潮流が、再び日本映画界を席巻する気がしている。
<文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修
俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:
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