クリスマスイブ当日の夜、その後郷里さんからの連絡がなく夏美さんは少し落ち込んでいると、郷里さんが大きなビニール製のバッグとともに突然訪ねてきたそうです。
「
なんとそのバッグの中身、全部で10ホールのケーキが入っていたんですよ!」
夏美さんが何事かと目を丸くしていると、郷里さんは玄関先で土下座をして「
このケーキを全部なんとかなんない?」と言ってきたそう。その金額はなんと合計5万円。しかも今日中にその売上金をお店に持ち帰りたいとのこと。
「いつもはイケメンに見えていた彼が、途端に哀れな一人の男性に写った瞬間でした」
そこから白状するように話を始めた郷里さん。実は郷里さんのお店は最近経営が思わしくなくスタッフにも販売ノルマが課されているそうです。しかも、スタッフ自身もノルマを達成することで時給が多少上乗せされるとのこと。
「実は私に声を掛けたきっかけも、ケーキが有名な店の紙袋を持って歩いていたことが理由だったみたいです。結局、私に近づいてきたのはノルマ達成が目的なのか聞くと、それだけではないと一応否定していました」
しかし、なんだか急に気持ちが冷めてしまった夏海さん。急に体の力が抜けるのを感じたそうです。仕方がないので、夏海さんはとりあえず家賃支払い用の封筒から5万円を取り出し郷里さんに手渡したそうです。すると郷里さんは途端に安堵の表情を浮かべ急いで店に帰っていったといいます。