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岩田剛典は“超一流アーティスト”だ!ソロライブを観た記者が徹底解説

岩ちゃんがふりまいた魔法の粉

岩田剛典 筆者にとっては、同じ三代目JSBのツインヴォーカル今市隆二のソロライブ『RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2022 “RILY’S NIGHT”』東京公演(11月14日)からおよそ1週間後に、『“THE CHOCOLATE BOX”』北海道公演(11月22日)である。今市の「Highway to the moon」から岩田の「Ready?」へ、双璧をなすダンスナンバーの疾走が続く感覚。こんな贅沢が許されていいものだろうか!? 「今夜だけは、この2時間、ぼくにください」 「Ready?」をオープニングアクトとしたあとの開幕トークを、こんな甘い囁きのようなMCとした岩ちゃん、反則じゃないか。それが「Ready?」の2番ヴァース(Aメロ)、「わかってんだろう?」と連動すればするほど、いやいやこちらの心の準備はもうどんどん遅延するというのか、むしろ「止まれないよ?」状態のゾーンに入りつつあるのか。いずれにしろ、岩田はこの一瞬の間、オープニングを駆け抜けるとともに、客席へ魔法の粉をふりまいた。

チルな肘打ち

岩田剛典 すでに単独でのソロライブツアーを成功させている今市と登坂広臣(ØMI)だが、岩田にとっては、今回がソロ初のライブ。しかもソロシンガーとしては1年目。EXILEと三代目JSBのパフォーマーであり、俳優業でも目覚ましい彼が、どんなライブパフォーマンスをするのか、期待は甘くふくらむばかりだったが、さっきの魔術的なMCトークに象徴されているように、彼は驚くほど脱力していた。相当意気込んでいるはずなのに、力んでいる様子はまったく感じないのだ。  それが特に顕著だったのが「Keep It Up」。コーラスで煌(きら)めいた。次のフレーズのあいまに一瞬さっと、マイクを持った左手のひじを右手拳で打ったのだ。これは「心を大切にしてほしい」とMCで客席に愛を込める岩ちゃんのメッセージを伝える仕草だが、岩田がルーツとするKRUMPのダンス最中に情熱的に突き上げた自分の胸を打つあの動きの緩やかなアレンジ。  この胸打ちならぬ、チルなひじ打ちが、たとえばブルースの巨人B.B.キングが途中からヴォーカルもギターも中断して、ステージ上のグルーヴの中で、左手の平を右手拳で打ってただリズムをとるだけになるように、アイコニックで静かなるアクロバティックを印象づける。こういうさりげないところに、超一流のアーティストの才覚が息づくように思う。
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ボーダーレスな岩田剛典感
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