基本的に岩田のソロ楽曲は、チルなポップスとは言えそうだが、ジャンルの定義が難しい。彼がモットーにしてる「take it easy」的に、焦らない、焦らない、ゆったり、まったりが、その基本姿勢。インコグニートに代表されるアシッドジャズとも言われたりするが、まあ今の段階で、そんなに焦って定義づける必要もない。肩の力を抜いて、ちょい脱力気味くらいがちょうどよい気がする。ゆったりまったりな音楽の中で、ボーダーレスな岩田剛典感を楽しめば、それでいい。
客席でもほんとうにちゃんとそのことを理解している雰囲気だった。というのも、筆者が本コラムを書くためにメモを取っていると、隣の席の女性ふたり(まったくの初対面!)が、とても気さくな笑顔をこちらに投げかけてさりげなくペンライトで手元を照らしてくれたのだ。いいなあ、このチルな緩さ。岩田にとっての「the only one」であるファンもまたこうしてボーダーレスで温かく、チルな基本姿勢にならっていた。

本公演のハイライトは、やっぱり朗読劇が織り込まれていたことだろうか。残りの公演を楽しみにしていただきたいので詳述はさけるが、こういうインタールード的な演出をむしろ全体の目玉としてみせてしまうのが、岩田剛典を岩田剛典たらしめる自由なスタイルの所以だろう。
朗読の声といい、ステージ上での動き方といい、いやあ~、役者だなあ、と思った。役者の基本は舞台上にある動線上を移動することにある。下手から上手へ、上手から下手へ、さらに奥から手前へ。ステージ上を最大限活かしながら、パフォーマンスを完全にコントロールしている。ソロ1年目にして、岩ちゃんは、紛れもなくマジカルなシンガーの姿だった。
<取材・文/加賀谷健>
加賀谷健
イケメン研究家 / (株)KKミュージック取締役
“イケメン研究家”として大学時代からイケメン俳優に関するコラムを多くの媒体で執筆。アーティストマネジメント、ダイナマイトボートレース等のCM作品やコンサートでのクラシック音楽監修、大手ディベロッパーの映像キャスティング・演出、アジア映画宣伝プロデュースを手掛ける。他に、LDHアーティストのオフィシャルレポート担当や特典映像の聞き手など。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。
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