女性上司が部下を食事に誘うとき「恐れていること」とは。男性と同じようにはいかない
帝国データバンクが昨年発表した女性登用に対する企業の意識調査(2022年)によると、「自社における管理職に占める女性の割合」は平均9.4%。政府は「2020年までに女性管理職の割合を3割まで引き上げる」と掲げたが、2022年時点で1割にも満たない散々な状況。引き上げ目標もすでに2030年まで延長されている。
女性管理職が少ないということは、職場にロールモデルになる女性上司がいない、希少ということになる。そのため、いざ自分自身が上司になった際に、どのように振る舞って良いか困ってしまう。
そこで、まず女性上司が抱える悩み、女性上司としてどのように立ち振る舞えば良いのかなど、『出産を機に仕事を諦めない 仕事との両立に悩んだら読む本』(日本橋出版刊)の著者で、企業向けのコンサルなどを展開する株式会社スマイル・フォスターの代表取締役・小林良子氏に話を聞いた。(以下、「」内は小林氏のコメント)
まず女性上司特有の苦労について、「女性だから取引先に軽視される、というケースは多いです」という。
「これは私も以前の勤務先で経験があり、男性部下と私が商談に行った際、先方が私の話よりも男性部下の話ばかりに耳を傾けるんです。名刺交換して私のほうが役職が上だと知っているにもかかわらずです。そのため、商談がスムーズに進まないだけでなく、精神的にもしんどくなりました。役職に関係なく、“女性に決定権がある”ということを認識していない人は一定数おり、悪意あるハラスメントではなくても心労が伴うことは多いです。
また、その商談後、部下を先に帰してくださいと食事に別に誘われ、そこで話を聞きたいと言われることもありました。仕事の中身を見てくれる姿勢がなかったことに落ち込んだ経験も多々ありました」
「“上司が部下を食事に誘う”という光景はよくあるシチュエーションです。しかし、“女性上司が部下を食事に誘う”となるとセクハラ扱いされてしまうことも珍しくありません。私自身は経験がありませんが、部下を持つ女性から同様の話を聞くことが結構ありました。
男性上司と同じような立ち振る舞いを女性上司がそっくりそのままやると、思わぬトラブルを招きかねないのです」
他にも、「女性上司に対する接し方がわからず、『あまり仕事を押し付けないほうが良いのでは?』という“優しさ”から、責任ある仕事を任せてもらえない、という声もよく聞きます。周囲は気を使っているつもりでも、『重要な仕事を任せてもらえない』とやるせない気持ちになり、モチベーションが維持できずに苦労している女性の話はよく耳にします」
取引先の人が、男性部下の話しか聞いてくれない
男性の部下を食事に誘ったら「セクハラ」扱い?
