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「800万円の借金返済に追われる日々」起業を夢見た女性が自己破産寸前になったワケ

「因果関係は調べようがありませんが、このスクールのレッスンに参加して体調が悪くなったというブログを何件か見かけました。デトックスの好転反応(※)とポジティブに解釈していましたが、それってもしや中毒症状では? いろいろ想像すると恐ろしくなります。しかしそうしたずさんさに問題意識を持っているスクール生は、ごくわずかです。アロマやハーブ、ヒーリングの正しい知識を活用したいというより、いかに稼ぐかが重要視されているからです。ですから、認定講師のカリキュラムを終了しないうちから生徒をすでに獲得しているようなスピリチュアルブロガーなどは、X先生の大のお気に入りでした」 ※好転反応=治療によって体が改善に向かう中で、一時的に悪化した状態になる体の反応のこと。東洋医学で用いられる概念で、標準治療では用いられない。悪質な健康食品や美容サービスで健康被害が発生した際に利用されがちな言葉として、厚生労働省などからも「鵜呑みにしないよう」注意喚起されている。

いつ自分が標的になるかわからない

同じ金額を払っている受講生への指導内容に差があるとは、大手スクールではよほどのことがないかぎりありえないだろう。さらに、メンバー同士が裏で足を引っ張り合うことも、日常茶飯事。誰かを生贄にしておかないと、自分の不利益になるからだ。Oさんがオンライン通話で参加していたミーティングでも、こんな光景が確認できたという。まずX先生が、そこにいない人の悪口を言う。するとそれを聞いていた人は自分も言われたくない! と矛先を逸らすため、その場にはいない誰かが不満を漏らしていたなどと告げ口をするという。 ハワイアロマ202301-2e「比較的年配のメンバーが入会したときは『もうあの年齢じゃ集客は期待してないけど、とりあえず認定講師の契約代金だけ払ってもらえればいいわ(笑)』とX先生が言っていたのを実際聞きました。私自身が告げ口されたこともあります。レッスン時間の圧倒的不足についてほかの受講生に相談したり、X先生に対する疑問を口にしたりしようものなら『陰でX先生の悪口を言っている』と。みんな、自分の悪口を言われたくないから、率先して誰かをやり玉にあげるんです」

それでもスクールをやめない理由

話を聞いていると「そんなスクールやめちゃえば?」と思うが、大金をつぎ込んだ以上、彼女たちはそう簡単に引き返せない。 「みんな、X先生をカリスマのようにもてはやしますが、本心ではなく、いかに有利に便宜をはかってもらうかの競争からだと感じています。もともとが、ヒーリングを真剣に学びたいというよりも、オシャレさや稼げるという謳い文句で集まってきた人たちも多そうですし。それっぽいビジュアルで、SNSでキラキラ発信をしているハワイのスクールの傘下としてビジネスしていると、日本のアロマテラピー協会と比べても 見栄えはしますよね。スクールは、ハワイの高級住宅地区にあります。そこでヒーリングについて学ぶ時間そのものは、非日常感がありとても素敵なものでした。そんな場所で、本物に触れて自由な人生を手に入れようと鼓舞されるのですから、X先生についていけば自分も輝けると錯覚した人も多いでしょう」
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800万円を費やして、残ったものとは?
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自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。お気軽に、山田ノジルnojiruyamada@gmail.com まで、ぜひご連絡ください(お返事に時間を頂戴する場合もあります)。
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