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「800万円の借金返済に追われる日々」起業を夢見た女性が自己破産寸前になったワケ

Oさんは結局、別のスクールで10万円ほどかけて足りない知識を補った。いざ日本で認定講師として活動を始めると、サポートしてくれるはずのスクールとまたもやトラブルが発生する。 「自分が開催する講座で使うハーブや精油などはX先生のスクールから購入しなければならないのですが、送られてくるハーブが生乾きだったこともありました。現地でX先生夫妻が庭で作っているブツもあるので、本当に適当です。雑貨扱いで検疫も通されていないようですが、植物なのに大丈夫か……!? と不安しかありません。ハーブを大量に輸入して税関で引っかかり、まともに対応してもらえない認定講師もいます。ほかにも明らかに香りが違う精油が送られてきたり、輸送中に容器から漏れてしまい、中身が減っているものも。なのに返品交換に応じてくれず『何か漏れちゃうんだよねー』『張り替え用のシール送るわ』。容量が足りないことを言っているのに、液漏れで汚れたラベルを張り替えるしか選択肢がないって何なんでしょう」

800万円かけて登録できなかった修了証

こうしたずさんさに加え、雑貨として輸入しているはずのフラワーエッセンスを、国内のスクールやカフェで飲用に使っている認定講師も複数いるという。 ハワイアロマ202301-2c「ハワイから送られてきたというだけで素晴らしいものだと錯覚してしまうのかもしれませんが、化粧品とも食品とも認可されていない手作りの雑貨を店や講座で飲用させるなんて、健康的にはもちろん法律上もアウトでしょう」 そうした惨状を確認し、最終的には認定講師の加入金や諸々の費用トータル800万円を「ドブに捨てた」とあきらめフェードアウト。スクールで「これがあれば米国のアロマ団体にセラピスト登録できる」と説明されていた修了証も、いざ申請をしてみたところ「レッスンの時間数が足りていない」と却下されたという。

スクールを離れ、返済に追われる日々

Oさんは現在、個人で美容サロンを運営しているが、スクール関連の借金返済が現在も毎月15万円発生するため、副業も多数抱えている。3足、時には4足のわらじを履く生活だというから壮絶だ。 「そんな生活に限界を感じ、自己破産の相談に駆け込むような状況にまで陥りました。ハワイのスクールを辞め、関係者と縁は切ったのに、借金を支払いつづけていることでいまだ沼の中にいるような気持ちです」 ハワイアロマ202301-2d金銭トラブルだけでなく、危険と思われるアロマの利用法をめぐっては、マルチ商法(ネットワークビジネス)系のものに昨今注目が集まっているが、こうして世に広く知られていないものが、まだまだ山ほどある。X先生のSNSでは「偽物は多いけどうちのは本物!」と呼びかけられているが、「本物」とは何だろう? 異論を許さない沼の主が本物と言えば、傘下である沼の住人は「本物です」と言うしかない。外からは見えにくい、沼の支配は恐ろしい。 【前回の記事】⇒「800万円をドブに捨ててしまった…」ハワイの“アロマスクール”にハマった女性の後悔 <文・取材/山田ノジル>
山田ノジル
自然派、○○ヒーリング、マルチ商法、フェムケア、妊活、〇〇育児。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のない謎物件をウォッチング中。長年女性向けの美容健康情報を取材し、そこへ潜む「トンデモ」の存在を実感。愛とツッコミ精神を交え、斬り込んでいる。2018年、当連載をベースにした著書『呪われ女子に、なっていませんか?』(KKベストセラーズ)を発売。twitter:@YamadaNojiru
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自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。お気軽に、山田ノジルnojiruyamada@gmail.com まで、ぜひご連絡ください(お返事に時間を頂戴する場合もあります)。
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