「登山家の方が『そこに山があるから登る』というのを聞いたことがありますが、まさにその境地でした。延々と続く石段を、黙々と上ることに、だんだん夢中になってきてしまいました」

雨で見晴らしが悪い本殿
足がガクガク、しかも急な上の滑りやすい石の階段をひたすら上って数十分。ふと見上げると、785段目の本宮にたどり着きました。
「ほぼ無心で石段を登っていたので、いきなり現れた本殿を見て『おおお!』と感動しました。昔の人もきっとこうやって感動したのかなと思いました」
ですが、山の中腹で、本来なら讃岐平野が一望できるはずの景色が全くと見えなかったそう。
「かなり高い場所まで登っているはずなのに、厚い雲に覆われて、景色は一切見えませんでした。
高さも分からないほど景色が何も見えず、疲れもマックスだったので、『ここはどこ? 実はまだ一段も登ってないのでは?』と騙されたような気分になりました」