愛美さんは、仕事から帰ってきた夫に相談します。
「そしたら夫が、『これさぁ、なんかおかしくない?』って。よく見たらその手紙の封にある切手の消印がね、うちの近所の郵便局のものだったんですよ。確かによく考えてみたら、犬がうるさいってそんな苦情、近所の人に決まっていますよね」
手紙の差出人が近所の誰かがだと確信した愛美さんは、怖くて家から出られなくなりました。家から出るのはゴミ出しくらいで、週3のパートも休ませてもらっていたそうです。
「引っ越して1年経っていましたが、近所付き合いはほとんどしていませんでした。会った時に挨拶を交わす程度でしたね」

「その手紙が届いてから2週間くらい経った頃ですかね、隣の家の奥さんが来て『変な手紙が届いていませんか?』って聞いてきたんです」
隣に住んでいたのは、子どもが大きくなり家を出て2人で暮らしている老夫婦。
「『なぜですか?』って私が言ったら、夫の部屋に “犬がうるさい” と文字印刷した紙が何枚もあったこと、普段からうちがベランダで犬を遊ばせていることをよく思っていなかったことを話してきて。
もう、『えー!』って感じでした。手紙の件があってからも、何度かゴミ出しのときに挨拶をしていたので……まさか、あの人だとは」
手紙が届いたことを伝えると、隣の家の奥さんは動揺してその場で泣き崩れてしまいます。愛美さんは自分の親よりも年上の女性が泣き崩れている姿を見て、どうしていいか分からなくなったそうです。
それからしばらくして、隣の老夫婦は引っ越していきました。
気になっても直接言えないのが近所の住民への苦情かもしれません。だからと言って、匿名で手紙を出して相手に大きな不安と恐怖を与えるのは、良い方法とは言えません。
犬の鳴き声などの騒音については都道府県や市区町村などの自治体が苦情の窓口を設けていることもあるよう。また、町内会などの自治会に相談し、回覧板などを回してもらうなどの方法もあるようなので、まずは第三者に相談することを検討してみるといいかもしれません。
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<取材・文/maki イラスト/ズズズ
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