90分1万5000円で、私たちは何を売っているのだろう
女性に特にありがちな話かもしれないが、中にはセラピストに本気になってしまったり、過剰に好きになりすぎてしまうケースもある。そんなとき、吉岡さんたち内勤さんも出番となる。
「セラピストと私たち裏方は常にLINEで連絡をとりあうんですが、あるときセラピストから『
女性が離してくれない』とSOSがあったんです。すぐに警察に連絡、店からも誰か来てほしいと言われ、私も現場に急行しました。あれはキツかったですね。セラピストはホテルの部屋ですがりつかれていて動けない。女性は鬼気迫る感じで……。結局、お客さんは警察に連れて行かれました」(吉岡そのさん。以下カギカッコ同じ)

そのとき、彼女は思ったそうだ。90分1万5000円で、私たちは何を売っているのだろう、彼女は何を求めているのだろう、と。
心が不安定な状態でセラピストに自分のすべてを受け取ってもらおうとするのは、おそらく間違いなのだ。相手は風俗業、自身の時間と技術を売っているだけ。そして客はセラピストの時間と技術を買うだけ。
だがそこに、そこはかとない人間同士のやりとりがある。そうやって割り切って考えないと、女風にいる人も来る人も実りがない。
「最初、女風ってこんなにお客さんから電話が来るんだとびっくりしたんです。この人たちはどういう状況で電話をしてくるのか。そう考えると、
人間の数だけ欲求があるんだなと……」
だからこそ、女性たちも女風を上手に使えるようになりたいものだ。
「たとえばですが、90分、クンニしてほしいという要望があるなら、正直にそう言ったほうがいいと思います。一緒に旅行することだって可能です。別れ際は、きっとものすごくせつないけど、それでもぐっと堪えて『またね』と言えたらかっこいい女性だと思う」
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