以前、出張ホストを依頼している女性と会ったことがある。彼女は、バリバリのキャリアウーマンでかなりの高サラリーなのだが、仕事が忙しすぎて恋人ができない。つきあったとしても逆に恋人がうっとうしくなってしまう。そこで出張ホストを頼んだのだ。彼は彼女の好みにドンピシャで、彼女は疑似恋愛を楽しんでいた。だが、だんだんと彼への恋心が強くなっていった。

仕事の帰りにふと空を見上げると、きれいな月が出ていた。
「月がきれいだよ」と彼に言いたいが、連絡できない。事務所を通さない限り、彼とは話せないのだ。そのとき彼女は「彼と自分の距離」を痛切に感じ、逆に入れ込みすぎていたことを悟ったという。
女風も同じなのだろう。
「とにかく毎日、いろんなことがあるので、仕事をしていて飽きることはありません。私自身、いくつか店を変わっていますが、どこであってもいろいろなことが起こる。ただ、今になって思うのは、確かに風俗ではあるけれど、実は大事な仕事なのではないかということです。男性用風俗のことはわからないけど、少なくとも女風は大切な仕事。
だからこそ、男性には女風のセラピストが『なりたい職業』であってほしいし、
女性にとっても生活を潤わせる大事な場になってほしいと思っています」
人間の根源的な欲求を扱っているだけに、喜びも哀しみもせつなさも、ありとあらゆる感情が渦巻くのが「風俗」の現場なのかもしれない。そこで吉岡さんは、今日も「名前をつけられない大事な何か」を売っていると痛感している。
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【吉岡その】
関東近郊の女性向け風俗店で裏方として働くアラサー独女。コロナ禍で勤めていた飲食店をクビになり、友人の紹介した求人に飛びつく。働き始めてから女性向け風俗店であることを知り、性経験が乏しいこともあって四苦八苦している。Twitter:
@yoshiokasono
<取材・文/亀山早苗 漫画/ヤチナツ>