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山崎育三郎はナルシスト天才っぷりが最高!ドラマ『リエゾン』に見る妙技

誰もが無条件にバラ色の人生に

 キザなナルシストで山崎育三郎劇場の支配人でもある山崎は、自分を美しく見せることに妥協がない。カメラに対してどんな位置に立ち、どんな動作をして、どのあたりに視線をやればいいのか、すみずみまで徹底的に計算され尽くした演技は、やっぱりプロの妙技だ。  さらにすごいのは、プロの技がこれ見よがしで若干押し付けがましいものだとしても、これがすべて愛すべきものとして視聴者にはキャッチさせてしまうこと。山崎の演技を見ていると、見ている側はちょっと気恥ずかしいながら何だか幸せな気持ちになってくる。まるで人生がバラ色であるかのように。  そういえば、育三郎さん、布施明の代表曲「君は薔薇より美しい」をカバーしていたっけ。ミュージカルが本業だから音大仕込みの歌唱もまた超一品。この必聴カバーの曲名からも明らかなように、山崎育三郎の前では誰もが無条件にバラ色の人生になる。

山崎育三郎マジックここにあり

 このクリニックには発達障害の子どもたちが通院しているが、実は志保も小さい頃、先代の院長で卓の叔母であるりえ(風吹ジュン)による診察を受けていた。自分がミスばかりしてしまうことを発達障害ではないかと思い続けてきた志保は卓に診察を頼み、予想通り発達障害だと診断を受ける。  志保は、医者になることを諦めようとするが、それをとどまらせる卓のもと、クリニックで新たに研修医となる。ここから卓はすこし脇に回って子どもたちと真摯に向き合う志保のことを見守る。それが「つながり」を作る「リエゾン」(フランス語で「連音」の意味)の役目であるように。  佐山宅役を通じた山崎育三郎マジックここにあり。どうやら院内には人生を前向きに捉え、生きる処方せんが、そこかしこにあるようだ。 ※編集部注:記事公開時「ドイツにいた卓」と誤った内容があったため、該当箇所を削除いたしました(2023年2月11日) <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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