これまでの清野さんの携帯&スマホ遍歴を伺ってみました。
「携帯を持ったのは遅くて30歳すぎてから。まずはエリクソン、ノキア、モトローラときて、BlackBerryです」
90年代に人気だったマニアックでおしゃれな機種を通ってきているようです。2010年前後は、オバマ大統領が愛用していたこともあってBlackBerry全盛期でした。

BlackBerry KEY2
「BlackBerryは、Bold、9900、Passport、KEY1、KEY2、KEY2 LEと6代に渡って使い続けました。iPhoneより安いのも魅力ですが、BlackBerryの良さは圧倒的にデザイン。見た目が9割ですから」
たしかに物理キーボードと小さめサイズの画面のバランスが絶妙で、裏面のロゴもかっこいいです。当時、外資系金融マンが活用しそうな有能オーラにあふれていました。
「何かの機会にスマホを出すと、『
それなんですか』って言われる。その優越感がたまらなかったです。珍しいのですごい言われました。例えると、外車に乗ってる感覚です」
20代の頃はデザイン重視で外車を選んでいたという清野さん。その車欲がスマホ欲になったのでしょうか。経費削減でかなり経済的な趣味です。
「おしゃれでマイナーなスマホを持っていると人と違う個性を出せる。便利さとかじゃないんです。特に今は皆iPhoneなので、違う方いきたいなーって思って最終的にこっちの道へ……。iPhoneは新型よく出ますよね。あれで騒いだり一喜一憂したりするのが好きじゃないんです。踊らされるの好きじゃない。自分が踊りたくて踊るのはいいけど」

写真はイメージです。
たしかに発売日にアップルストアに並んでハイタッチしている人とか、妙な陽キャ感があってなかなかBlackBerry派とは相容れない感じがします。
「iPhoneはアップデートが早いから、買ってもすぐに最新機種じゃなくなって引け目を感じるようになる。
でも、BlackBerryは新しくならないですから! ずっと4年間、最新機種っていうのが良かったですね」
新機種が出ないどころかOSもサポート終了。このまま消えてしまいそうな文明です。もしかしたら希少価値が生まれて、いつかエモいアンティークスマホとして骨董価値が出るかもしれません。昔のガラケーが某骨董品屋に売られていたという話も聞いたことが。マイナースマホの今後の値上がりに期待です。
「写真も画質悪くてね、よくこんな小さい画面で、って思いますよね」
と、慈愛を漂わせた瞳でBlackBerryに触れる清野さん。もしかしたらまたBlackBerryに回帰することもあるかもしれません……。
スマホが便利で汎用性があればあるほど、人は依存してしまい、電池とギガとエネルギーを吸い取られる……。スマホのデザインを視覚的に楽しむくらいが、まだ人間の方に主導権があって、理想的な関係性を保てそうです。マイナースマホ男子の取材で、スマホとの適度な距離感を教えられました。
<文/辛酸なめ子>