なぜか苦手だったカーディガンが「いつも着ていたいアイテム」に変わった瞬間
『わたし史上最高のおしゃれになる!』『お金をかけずにシックなおしゃれ』などの著書があるファッションブロガー小林直子さんが、愛用しているアイテムをご紹介します。
カーディガンと聞くと、どこかノスタルジックな響きを感じるのは、それが小さいころによく大人によって着せられたものだからでしょうか。文化出版局から出ている『ファッション辞典』によると、カーディガンとは「一般的には、毛糸編み、前開き、ボタン留めの上着をさす。Vネック、丸首、衿つきなどデザインはさまざまある」とあります。
季節の変わり目で、気温の寒暖差が激しくなると、体温調節のために1枚余計に着たり、脱いだりすることが推奨されますが、その1枚としてよく扱われるのがカーディガン。シャツやブラウスの上に羽織って出かければ、暑く感じたら脱げばいいので便利です。私も季節の変わり目のときには皆さんにお勧めしてきました。
老若男女とも誰にでも似合い、汎用性も高いカーディガン。しかし自分自身のことを振り返ってみると、大人になればなるほど、私はこのカーディガンなるものを余り買わないし、着てもいないということに気づきました。
ファッションの学校に行き、それを仕事にしたとしても、自分のワードローブに入れたことのないもの、あるいは時々しかないアイテムというものがあります。多くの材料を使って料理する料理人と違って、ファッションに関連する仕事をする人たちは、割と自分の好みを優先するため、着たくないものは着ないことが多いのです。
今回、カーディガンについての文章を書くに当たって、私はどうしてカーディガンというものをあまり買わないのか、着ないのかという理由について考えてみました。そこで思い当たったのは、カーディガンにまつわる思い出です。小さいころから高校生の時代まで、カーディガンはみずから望んで着るものではなく、別に着たくもないものを仕方なく着ていた覚えがあります。
「寒いからもう一枚着ていきなさい」と言われて、シャツやブラウス、あるいはワンピースの上に着るのがカーディガン。それはほとんどの場合、着たいから着るのではなく、寒いから着なくてはいけないものでした。
そしてたぶん最も不本意ながら着ていたのが、中高生だったときに、学校に行くときに着ていた紺色のカーディガン。学校指定とかなんとか言われて、それ以外の色や形は選択することは許されず、寒いときには仕方なくシャツやブラウスの上から着たあのカーディガンが、私はどうやら嫌いだったようなのです。
最も嫌なのは「紺色のカーディガンをシャツやブラウスの上に着る」という行為。よって、私は「紺色のカーディガンをシャツやブラウスの上から着る」ことが義務付けられた職業にはつけないと薄々感じていましたし、実際にそうなりました。





