草彅剛『罠の戦争』強烈すぎたセリフの意図は?『エルピス』の骨太ぶりと振り返る
草彅剛演じる議員秘書が、悪しき政治家に復讐を果たすドラマ『罠の戦争』(カンテレ・フジテレビ系、月曜夜10時~)。3月20日に放送された10話では、鶴巻(岸部一徳)が政権維持に関するなかなかに過激な発言を口にした。また、2022年10~12月で同時間帯に放送された『エルピス』(カンテレ・フジテレビ系)でも、政権維持についてのセリフが出ている。
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『エルピス』と言えば、テレビ局に勤める浅川(長澤まさみ)と岸本(眞栄田郷敦)が、とある冤罪(えんざい)事件の真相を究明しようと奮闘する姿が描かれたドラマだった。冤罪事件だけではなく、現実で起きた様々な事件を作品内に盛り込んでおり、ただの“エンタメ”としての消費をさせないほどの熱量があった。
「自分たちが生きている世界で今なお起きていることが、ニュース番組のようにドラマとして今目の前に映し出されている」という危機感も同時に与える鬼気迫る内容で、今でもそのストーリーを鮮明に覚えている人は多いだろう。
今回は、カンテレが手掛ける政治を軸にした両作品を題材に、作中で飛び出した“政権”においての発言に触れながら、勝手に制作側の意図を夢想したい。
まず、『罠の戦争』だ。渾身のスキャンダルで鶴巻を追い込もうと目論む鷲津(草彅剛)だったが、もう少しのところでかわされてしまう。一応は鶴巻を引退させることに成功するも、それは“名誉の辞任”という印象を与えるもので、最大の敵役を潰すことには失敗する。さらには、当初は鶴巻潰しを支持し、鷲津を応援していた竜崎総理(高橋克典)からも裏切られる始末。

画像:関西テレビ放送 カンテレ『罠の戦争』公式サイトより
『罠の戦争』『エルピス』で飛び出した、忘れられない言葉
「この国の人間は気分でしか政治を考えない」
そんな中、失意のどん底にある鷲津に対して、鶴巻は「私ほど政治を守ってきた人間はいないよ」と口にした後、「この国の人間は気分でしか政治を考えない。不満が溜まりすぎてガス抜きが必要になったら総理を代えてやる。それで意見が通ったと満足するわけだ、あの連中は」と続けた。 政権を守ることが政治を守る、ひいては国民を守ることと言わんばかりの傲慢さを感じる。とはいえ、首相が交代した途端に支持率が回復するケースは珍しくない。“気分でしか政治を考えない国民”とは言い得て妙であり、風刺の効いたセリフと言える。