しかし日本については、「
日本はこの服はどこが何cmで作られているというデータを示す実寸文化。裄丈、身丈、着丈と書かれても、詳しい人でなければわからないですよね」と大きく異なる服飾業界の在り方を解説した。
さらに、「欧米では返品が当たり前、という文化の違いも海外でファッションECが先行した理由の1つかもしれません。向こうでは『着てみたら思ったよりキツかったから返品したい』は当然の権利なんです。しかし日本の企業は『人が一度袖を通した品は新品で売れない』と返品を嫌がるため、
消費者もどんなサイズか手に取れないECサイトでの買い物に慎重になっていたのではないでしょうか」と自身の考えを明かしている。
そうした日本の文化によって「
どうやってオンラインで適切なサイズを伝えるんだ!」と門前払いされた経験もあるそう。しかし日本特有の「買い物で失敗したくない」という消費者不安を解消する手立てとして、徐々に導入する会社が増えていった。

株式会社メイキップの社員たち
コロナを機に始まったファッションECの隆盛。さらに思わぬ制服業界の参入によって生まれたキッズレコメンド機能は、子を持つ親の消費行動を大きく変えるものになった。
佐々木氏は「
目指しているのは『サイズレコメンドが当たり前』という社会。本来楽しいはずの服選びに、『このサイズ入るかな』という負の感情がセットになっている状況を変えたいのです。こうした不安をテクノロジーによって解消して、1人でもサイズに悩む人を減らしたいと考えています」と熱く語る。
服を買ってみたけどダメだったという時は、届く前のワクワクからの落差もあってダメージが大きい。買い物をする時は失敗しないよう、不安が解消できるデータ集めを怠らないようにしたい。
<取材・文/木村義孝>
木村義孝
副業フリーライターとして2年活動したあと独立。子育ての苦労と楽しさを噛みしめつつ、マンガ趣味の影響で始めた料理にも全力投球している。クルマを走らせながら一人でカラオケするのが休日の楽しみ