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高校生動物写真家が撮った、桜の季節だけの「奇跡のコラボ」

桜の枝にとまったカワセミ。ちょんと尾羽を上げているところがかわいいです

桜の枝にとまったカワセミ。ちょんと尾羽を上げているところがかわいいです

『毎日小学生新聞』(毎日新聞社)で連載執筆中、NHKの番組でも作品が紹介されるなど、いま注目の高校生動物写真家・藍沙(あいしゃ)さん。そんな藍沙さんが、“飛ぶ宝石”と呼ばれるカワセミと満開の桜という「奇跡のコラボ」写真を撮影、そのコラボの魅力と撮影のコツを語った。以下、藍沙さんの寄稿より。 【画像をすべて見る】⇒画像をタップすると次の画像が見られます

「美しいもの×美しいもの」の最強コラボ

桜の花を見上げているような「お花見カワセミ」

桜の花を見上げているような「お花見カワセミ」

 こんにちは! 動物写真家の藍沙です。皆さんはお花見しましたでしょうか? 私は、桜が咲くのが毎年とても楽しみです。桜とカワセミという「奇跡のコラボ」が撮れるからです。  カワセミは、河川や池等の近くに生息する全長17cmほどの野鳥で、“飛ぶ宝石”とも呼ばれる非常に美しい鳥です。背中や頭の明るいブルーとお腹のオレンジは、美術でいうと「反対色」で、とても鮮やか。しかも青い羽毛の部分は、CDなどと同じ「構造色」で、光の当たり方でその色合いが変わります。
背景の川の青も意識して撮りました

背景の川の青も意識して撮りました

 これをいかに奇麗に撮るかは、カメラマンとして撮影しがいがあるのです。カワセミはそれ自体非常に美しい鳥ですが、桜と一緒に撮ると最高です。美しいものに美しいものをかけて、最強に美しい! とテンションがめちゃ上がります。  カワセミは“清流の宝石”とも呼ばれてきましたが、現在は東京都内の川や池でもその姿を見ることができます。昭和の高度成長期、水質汚染でカワセミは都市部でその数を大きく減らしましたが、その後、水質がやや改善したことや農薬規制が行われたこと、水の汚れに強いモツゴという小魚やザリガニが増え、それらをエサとするようになったからとされています。

カワセミを驚かせないように、リラックスさせて

花びらが付いた岩に飛んでくるところを撮影、これも「桜とカワセミ」

花びらが付いた岩に飛んでくるところを撮影、これも「桜とカワセミ」

 桜の木も都内のあちこちにあるので、カワセミと桜を撮るのは、そんなに難しくないように思えるかも知れません。でも実は、けっこう撮影環境が重要なのです。カワセミの主食は小魚やエビで、花には興味がありません。「花より団子」ならぬ「花より魚」なのです。  ですから、「奇跡のコラボ」を撮ろうと思ったら、桜の木がたくさんある川沿いで、水面近くに伸びている枝を探すことが大事。魚やエビ等を取ろうと水面を覗くために、カワセミが枝にとまるからです。  ただ、河原や池などの近くでお花見をしている人々がいる場合、カワセミが近くに来ないこともあります。だから、川沿いの遊歩道など花見が行われていない場所で、あまり人を怖がらない個体を探します。  大切なのは、カワセミが桜の木の枝にとまったからといって、走って近づくのはNGということ。なるべく足音を立てず、カワセミがこちらを警戒しないか様子を見ながら、慎重に近づきましょう。カワセミを驚かしたらダメですし、それに、こちらが気配を殺し、カワセミがリラックスしている時の方がいい写真が撮れます。
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カワセミはとまりやすい花の咲いていない枝の方が好き
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*以下の日程・場所で、藍沙さん撮影の野鳥写真が展示されます。
〇4月8日~12日:JR高尾山口駅近くの「高尾599ミュージアム」にて行われる、東京多摩野鳥写真クラブの展示に、藍沙さんも参加し写真を数点、展示。
高尾599ミュージアム
東京都八王子市高尾町2435-3

〇5月25日~6月7日:JR立川駅近くの「タクロスminiギャラリー」で、藍沙さんの展示「東京の野鳥」(仮題)を行う。大型写真パネルを含む、多数の写真を展示する予定
立川タクロス
東京都立川市曙町2-2-25
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