マスク着用が任意となり、顔を見せたくないので外したくないという人もいますが、これは醜形恐怖症のうちに入るのかという点については、
醜形恐怖症の多くは目を気にしている人が多く、サングラスで隠すことが多いそうです。

原井先生が臨床の場で見てきた患者の中には目を気にする人が最も多く、整形手術をしたり化粧を濃くしたりしているそうです。しかし、鼻や口、ニキビ跡の肌や歯並びにコンプレックスを持っている人は今後もマスクをつけ続けたいと思うようです。
美容整形は先生の専門の範囲外になってしまいますが、美容整形で目や鼻、口などを整形しても自分の理想通りにならず整形手術を繰り返してしまうとのことです。また、醜形恐怖症は強迫性障害の一種ということでしたが、マスクを外せない理由の一つに強迫性障害があると言います。
「今は収まっていますが、コロナ禍が始まったころ、一番多かったのが、感染恐怖の方です。マスクを外したら何か大変なことが起きるのではないか、という強迫観念を抱く強迫性障害です」
身近に醜形恐怖症の人がいた場合、どのように接するのが良いのかも原井先生は教えてくれました。

「まず、醜形恐怖症の人は自分が醜形恐怖症であることを隠しているので友人や職場の人は気づきにくいです。でも、家でずっとサングラスやマスクを着けているわけではないので、一緒に暮らしている家族は気づきます。家族の場合、腫れ物に触れるように扱うのではなく、普段通りの生活を心がけましょう。
もし、友人から醜形恐怖症を打ち明けられた場合は、
『あなたは醜くないわよ』とか『チャーミングなポイントだよ』と言って褒めるのは逆効果です。そのように励ますのは、うつ病の人にもっと頑張れと言うのと同じで、
共感してあげるのがいいと思います。醜形恐怖症はまだまだ病気としては知られていなくて治療できる先生も少ないので、こうやって記事に取り上げてもらえるのはとてもうれしいです。
風俗店で働いて整形を繰り返す人もいます。それはそれで本人自身の選択ですが、その結果を本人がどう見ているのか、他に大切なことは何か、本当はどうしたいのかを、この記事で考えてもらえるチャンスになってほしいなと思っています」