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妻の死は自分のせい?その思いは一生消えない/旅立った『末期ガンでも元気です』作者の夫に聞く

手術後の退院はびっくりするほど早かった

私が『末期ガンでも元気です』(以下、『元気です』)のなかでも特に好きなエピソードは、手術後の退院にまつわる箇所です。「もう退院かよ!?」と。早すぎる……驚きました。 術後の生活については、調べればいくらでも出てきます。でもやってみなければ、わからないことだらけですから、やはり緊張感がありました。あと、これは本人には言えませんでしたが、家の中が1人の生活で荒れまくって汚すぎて、まだ退院されては困るなという思いもありました(苦笑)。 退院できるんだ! という嬉しさもありつつ、退院後の不安な気持ちの方が、大きく上回っていました。退院の日の朝は、うちの家族も病院に迎えに来ていましたが、『元気です』に描かれている通り、本人は、退院後すぐに“観劇”に向かいました(笑)。 家族は勿論、すごく心配しましたけどね。本人の意思を尊重して、私たちを送り出してくれました。私にとっては荒療治でしたが、この日帰り旅が、少なからず退院後を不安に思う私の緊張を緩めてくれる出来事でした。 それから最終話でのフィットネスゲームを2人でしているショットも好きですね。ほんとに妻は一生懸命やっていましたから。レベルは100を大幅に超えていたような。特に手術後は、体力作りに余念がなかったです。思い出しますね、色々。
ひるなま『末期ガンでも元気です 38歳エロ漫画家、大腸ガンになる (POLARIS COMICS)』フレックスコミックス(株)より

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妻は「命の恩人」妻がいなければ、今の私はいない

過去に私自身のうつ病の症状が特に深刻だった時期には、ひるなまが献身的に支えてくれました。数え切れないほど助けてくれました。 私にぴったりの心療内科を探して見つけてくれましたし、積極的に散歩に連れ出してくれました。 休職中においては、療養手当や傷病手当金の給付を受けられていましたが、家計や人生設計には少し不安がありました。そんな中でも、「悪いのはキミじゃない。前の職場と、病気が悪いんだよ」と慰めてくれました。 それから程なくして、以前私がプレゼントしたリラックマのがまぐちを持ち出してきて、 「これ以降、ごめんなさいって私に言ったら、罰金ね」 「1回謝ったら、500円をリラックマに」。 ユーモアを交えつつ気を使わせないように、心を砕いてくれていました。 妻は、ブログでも触れたように、「命の恩人」です。 妻がいなければ、今の私はいません。
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「私のせいでは?」という思い
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