Love

15年前の元彼にSNSで別人を装って恋愛相談。徹底的につきまとうと決めた33歳女性の哀しいワケ

DMには驚きの返事が

「今、失恋中なんです。どうすればふられませんかって。そうしたら、なんて答えがきたと思います?“君が男性か女性かにもよるけど、お金に対する価値観の近い人がいいよ”だって。前に、お金の価値観が違いすぎる女性とつきあって驚いたことがあるって……」 それはほかの誰でもない美和子さんのことだった。 「そして、何にいくらかけるのが普通かという感覚が近い人といるとリラックスできるし、人生を一緒に歩もうと思えるって話してきたんです。私もう本当に悲しくて悔しくて……」 失恋 恋愛泣いてもがき、苦しんだ。そして決めたそうだ。徹底的に彼につきまとってやるんだと。かといって、美和子さんにストーカーのように豹変する勇気はないし、現実をちゃんと見る冷静さもある。そんな中で彼女は、「猫のアイコンの自分という存在」を彼の中に刻むことを執念深く繰り返しているのだ。

10年ほどSNSでの関係を続ける

「DMやコメントで、つかず離れずの関係を10年ほど続けています。彼は大学卒業後も結局帰国せず、フランスの金融機関で働いています。奥さんは画商をしながら自分も絵を描いています。時には奥さんとの夫婦仲を相談されるときもある。6歳になる女の子が喜びそうな日本の絵本について尋ねられることもある。優斗も多分、私を見知らぬ人と思うから、あれこれ相談できるんだと思います。 たまにセックス相談もありますよ。知ったふりしてアドバイスするんです。私のほうは、優斗としか経験ないのにね……。ネットって、いくらでも誰かに化けることができる。それが面白いとも思うし、でも自分はもう狂ってると思うんです」 SNSで見る彼は、いい感じに年齢を重ねている。やっぱりかっこいいし、今もし会っても好きになると思う。その彼と、まるでつきあっているような気分に陥りながらも、彼に対する恨みは消えない。 だから時折、彼のSNSを見ながら心の中では「死ね、死ね、死ね」とつぶやいてしまう。そのつぶやきがどんどん大きくなって耳鳴りのようになり、いつしかひとり暮らしの自分の部屋で大声で「死ねー!」と叫んでしまうときがある。ふと我にかえり、自分の言葉や、日々していることに自己嫌悪してしまうのだが、やめることができない。 失恋「実はもう、心はボロボロなんです。これ以上続けていたら発狂しそうですし、いや、もう私は発狂しているのかもしれません……助けてください。お願いです、助けてください」 話しながら、彼女は最後には泣き崩れていた。誰にも話せずに長く抱えてきた思い。壮絶な苦しみだったと思う。根は深いと思う。 ただ救いなのは、彼女には善悪の判断ができるということ。そして、今の自分を変えたいという思いが強いということ。だから、きっと変わる。変わることができる。優斗さんの思いを変えることはできないのだ。他人は思いどおりになんていかないのだ。もう過去から解放されて、自分の人生を歩んでほしい。 ※個人が特定されないよう一部脚色を加えています。 <文/安藤房子> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
安藤房子
作家。恋愛心理研究所所長。離婚を機に日本初の恋愛カウンセラーとして独立。メールカウンセラーの草分け。心と身体両面からのアプローチで婚活・恋活女子を応援。著書に『愛されて結婚する77のルール』など。Instagram:@ando.fusako.loveブログ:恋愛心理研究所 安藤房子の「ココロとカラダのレシピ」  
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