「そんな私に気付いてくれたのが、写真館の女性スタッフでした。私に近寄ってきて椅子を確認すると、『大丈夫よ。椅子はやっておくから、こっちにきて』と私をスタッフルームに連れていってくれて」
その50代くらいと思われるベテラン女性スタッフは、真理子さんに着物を一度脱ぐように伝えたそう。
「私がもう一度着付けてあげるから、一度後ろに付いた鮮血を取ってみましょう」と言うと、鮮血が滲んだ部分をタオルで挟み、何か薬品のような液体を付けて叩きながら処置してくれました。
幸い、真理子さんが選んだ着物の色は赤に近い紫色。瞬時に対応してくれたベテランスタッフのおかげで、お尻部分の鮮血はほとんど分からない状態になったそうです。

「着物の血が取れた時は本当に安堵しましたね。あの時、ほっとしたのと恥ずかしいのとで泣きそうになっていた私に、女性スタッフが『成人式は笑顔で参加してくださいね』と優しく声を掛けてくれました。そして、『綺麗な色の着物を選ばれましたね』と言いながら、手際よく丁寧に着付けを仕直してくれたんです」
女性スタッフの神対応で、真理子さんは無事に成人式に出席。着付け代金などの後日請求もなかったそうです。
「あの日、成人を迎えた私は『自分もこの人のような大人になりたい!』と強く思いました。相手がして欲しいことを汲んで寄り添いながら、手際よく対応する女性スタッフの姿に、自分はなんて未熟な子どもなのだろうと感じた成人の日でした」
12年経った今も、真理子さんの住まいから歩いて20分の場所にある、老舗写真館。今でも、その老舗写真館の前を通る度に、真理子さんの頭の中にはあの時の苦い記憶と温かな記憶が蘇ってくるそうです。
人とのつながりを大切にし、お客さんを大切にするスタッフがいるからこそ、“老舗”の写真館として地域に認められているのでしょうね。 温かなエピソードでした。
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<取材・文/maki イラスト/ズズズ
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