次にご紹介したいのは、三つの変化で、私たちを魅了した前田敦子です。
まず、WOWOWのドラマ『ウツボラ』では、ある作家(北村有起哉)を翻弄(ほんろう)する美しい女性・朱(あき)と、朱の妹を名乗る桜の二役を演じました。
次に、美大を卒業後、同級生の自死をきっかけに再会したアラサー男女3人が“おうちごはん”を囲み、暮らしを共にしていく物語の『かしましめし』(テレビ東京系)。前田はパワハラにより仕事を辞めたデザイナー・千春を演じました。
そして『育休刑事(デカ)』(NHK総合)では、主人公・春風(金子大地)の奇天烈な姉・涼子役で凄まじい存在感を放っています。前田はこの三作品で、全くタイプの異なるキャラクターを演じ分け驚かせてくれました。
『ウツボラ』で見せた妖艶さは、筆者的に最推しのあっちゃん過去作でもある『毒島ゆり子のせきらら日記』(TBS系)でのエロスとはまた違い、彼女の個性的な声に発声の磨きがかかり、一人二役に説得力をもたせていました。
そんな艶やかで謎めいた大人の女性を演じたと思ったら、『かしましめし』では“心の揺れ”を繊細に表現。元勤務先のパワハラに心が疲れきってしまった主人公の心の傷と、その傷が友人とのごはん時間を通じて癒されていく様子を、丁寧に見せてくれました。
最終回では、同居していた友人たちとの別居を決意。ふたりにそのことを告げるシーンは優しくも切なく、涙が溢れました。
そこから180度違うキャラクターに振り切ったのが『育休刑事』の涼子役です。彼女はこの作品でコメディエンヌとしての才能をさらに大きく開花させたといえるでしょう。
育休中の刑事の弟に代わって、捜査に首を突っ込む法医学者の姉。設定もさることながら、とにかくエキセントリックな変人で、毎回違う髪型、派手なファッションで周囲を振り回していきます。前田がとにかく伸び伸びと演じていて、かといって世界観を壊さず、作品に心地良いテンポをもたらしているのです。この作品で、前田の演技を好きになった人も多いはず!
この春は最初から最後まで、前田の驚きの振り幅で楽しませてもらいました。もうアイドル女優とはいわせない! 7月に始まるサスペンスドラマ『彼女たちの犯罪』(読売テレビ・日本テレビ系)への出演も発表されており、ますます彼女から目が離せません。
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