家電や便利グッズが家事を増やしていた?!50歳で極限までものを減らした女性が見たものとは
“夫なし、子なし、冷蔵庫なし、ガス契約なし”。
「極限までものを減らした暮らしは、究極に満たされているのです。」そう語るのは、都内でフリーランス生活を送る稲垣えみ子さん。『家事か 地獄か』(マガジンハウス)は、老後や不況や災害を吹き飛ばす、現代の生き方が詰まっています。
稲垣さんは、50歳にして大企業を辞めました。当然収入はゼロ、家賃を抑えるために高級マンションから老朽ワンルームに引っ越し、洋服や化粧品など、買い集めたコレクションを手放したといいます。
食事はカセットコンロ一個でこなすという、修行僧か世捨て人かという生活から生まれたのは、家事ラクと家事ラブ。家電をなくしたら家事が楽になり、家事との蜜月関係が築けたというのです。
洗濯は「タライで前日の汚れ物を手洗い」で約10分、掃除は「ホウキで床を掃くor雑巾で床を拭く」で約10分。食事は昼食と夕食の調理時間が合わせて10分から20分。1日の家事時間がトータル約40分です。このくだりを読んで私は、家電がないと家事ができないというのは単なる思い込みだった、と愕然(がくぜん)としました。
私もひとり暮らしの時は、平日はバスタイムにその日の汚れ物を手洗いし、部屋は粘着カーペットクリーナーや雑巾で済ませていました。単純に超狭いアパートに住んでいたから、という理由もありますが、本書が紹介したこちらのデータを見て、目からウロコが落ちたのです。
それは「男女平均の一日の家事時間は5年前と比べて4分増えた」という総務省の調査(『令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果』による)。ハイテクノロジーな家電が量産されるなかで、なぜこのようなトラップが起こるのでしょう。




