都庁前の食品配布に“過去最多749人”…子連れの親も。コロナ給付金が消えて「貧困が加速」した人々
異常な猛暑が続く今年の夏だが、悪夢は気温だけではない。物価高や電気代の高騰で子育て中の困窮世帯はかつてないほどの苦境に置かれている。
この夏休みに何が起きているのか。支援者への取材や当事者の声から浮かび上がった子供の貧困の実情に迫った。
’22年度の「労働力調査」(総務省)によると、非正規雇用で働く人は全国に約2100万人で、労働者の約37%を占める。
うち7割が女性だが、女性の賃金の低さは顕著で、年収100万円未満が41.2%、100万~199万円が38.2%となっている。まさにワーキングプアの状態だ。
都内に住むシングルマザーのSさん(40代)は嘆く。
「ひとり親世帯は各種手当があり、自治体によっては医療費が無料になったり、水道代が減免されます。
ある日、シングルのママ友がみんなの前で『医療費がタダになるから、パソコンで腱鞘炎になったと嘘をついて接骨院でマッサージをしてもらっている』と言っていた。
ほかのママ友からバッシングの嵐ですよ。でも、疲れてもマッサージ店に行く金銭的余裕なんてない。これくらいしか自分を癒やせる場所がないんです」
この母親のように各種手当を受けている人は、まだいいほうかもしれない。
困窮世帯の親子をサポートする大阪のNPO法人「CPAO」代表の徳丸ゆき子氏は次のように話す。
「行政の手当や民間の支援は基本的に申請主義。情報を得て自分で動かないと受けられません。しかし、自分のことすらままならない親もいます。
例えば、家が散乱しているため書類がどこにいったかわからなくなったり、書類の意味が理解できない方もいます。
私たちのような支援団体に辿り着けないケースも多々ある。困窮世帯のなかにも格差ができていると実感しています」(徳丸氏)
夏休み明け、登校した児童が痩せ細っている……そんなことが起こらないよう、政府は子供の貧困に対し、本腰を入れて取り込むべきだろう。
「『子どもの貧困対策法』ができて10年。改めて支援を整理しながら、本当に子供たちに恩恵があるようにしていく必要があります。
国は現金を配りたがらず、サービスで支援しようとしますが、給付金は一番効果がある。
世論がよく騒ぐ、ギャンブルや遊興費に使う親は本当にごく一部。一部の人のために給付金を出さないのはおかしい」(徳丸氏)
子供は国の宝だ。支援を疎かにしてはいけない。
「女性の賃金の低さは顕著」
「ギャンブルや遊興費に使う親は本当にごく一部」
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