![[貧困子育て世帯]地獄の夏休み](https://joshi-spa.jp/wp-content/uploads/2023/08/hinkon300161829-585x390.jpg)
厚生労働省は7月、’21年の子供の相対的貧困率が11.5%となり、前回調査よりも2.5%改善したと発表した。しかし、これにはカラクリがある。
貧困問題を長年追い続けてきた作家の雨宮処凛氏はこう指摘する。
「貧困問題に携わる人の間では、コロナ関連の給付金で一時的によくなっただけだと指摘する声が多いですね」
実際にはむしろ、状況が悪化していると言う。
「東京都庁下の食料品配布に並ぶのは、以前は野宿男性が中心で50~60人程度でしたが、コロナ禍では子連れの親たちも並ぶようになりました。
5類に引き下げられた5月末には、過去最多の749人を記録した日もあります」
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続けて雨宮氏は、シングルマザーの雇用問題を解決しなければ子供の貧困はなくならないと強調する。
「バブル崩壊前までは、シングルマザーでも事情を酌んで中小企業の社長が正社員として雇ったりするなど、社会的包摂がありました。
ところが非正規雇用が広まると、シングルマザーが得ていた正規の職は、多くが派遣や業務委託に置き換えられてしまった。
非正規問題が格差拡大の要因なので、まず解決しなければならないのは雇用問題。
ところが子供の貧困対策や少子化対策では、そこにはまったく触れていない。子供食堂などの支援活動は広がっていますが、政府は民間に丸投げしている状態です」
女性の雇用対策こそが、貧困対策の要になるのだ。
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徳丸ゆき子氏
【徳丸ゆき子氏】
大阪府生まれ。困窮家庭の親子をサポートするNPO法人「CPAO」代表。’03年より国際協力NGOに所属し、子供の貧困問題などに取り組んでいる。
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雨宮処凛氏
【雨宮処凛氏】
作家・活動家、「反貧困ネットワーク」世話人。’06年から格差・貧困問題に取り組む。近著に『学校では教えてくれない生活保護』(河出書房新社)など
<取材・文/週刊SPA!編集部>