Entertainment

障がい者の恋愛を描いたドラマ『初恋、ざらり』で、専門家が唯一「違和感を覚えた」シーンとは?プロデューサーに聞く

 軽度知的障害と自閉スペクトラム症のある上戸有紗(小野花梨)と、有紗のアルバイト先の運送会社で働く岡村龍二(風間俊介)との恋愛模様を描いたドラマ『初恋、ざらり』(テレビ東京系、金曜深夜24時12分~)。視聴者の心を毎回激しく動かし、放送終了後にはSNSで様々な感想が寄せられる話題作である。
「初恋、ざらり」

©「初恋、ざらり」製作委員会

 そんな本作のプロデューサーを務め、株式会社テレビ東京 制作局 ドラマ室の北川俊樹氏に、本作をどのように制作しているのかや、現場の様子などの話を聞いた。 【前回記事】⇒障がい者の恋愛描くドラマ『初恋、ざらり』で、制作が「炎上リスクよりも配慮したこと」。プロデューサーが語る

障がいはグラデーション、ひとくくりにできない

 とにかく小野と風間の演技に圧倒されるシーンが多い。まず軽度知的障害と自閉スペクトラム症のある有紗という役を小野はどのように演じていたのか聞く。 「自閉スペクトラム症などの発達障害、そして知的障がいは、基本的にグラデーションなんですよね。同じ自閉スペクトラム症の人でも困難の種類やレベルも異なるため、“発達障害だから”とひとくくりにすることはできません。その辺りを小野さんは理解していることが、芝居の凄さにつながっているのだと思います
北川俊樹氏

株式会社テレビ東京 制作局 ドラマ室の北川俊樹氏(撮影:望月悠木)

 続けて、「風間さんが以前、小野さんに対していろいろ調べものをしたりして入念に準備をして撮影に臨むけど、現場に入った時には直感で対応することもできる、という風に話していたんですよね。本当にプロフェッショナルの役者同士だからこその境地なのだと感じました」と語った。

圧巻だった風間俊介の“あの芝居”

 一方、風間の演技については「障がいのある有紗と一緒にいるため、岡村という役はどうしても受けの芝居が多くなります。有紗の言動に驚かされつつも、何の嫌味も持たせない、どこかちょっと抜けている青年を演じなければいけない。その受けの芝居が完璧です」と絶賛。中でも風間の演技に衝撃を受けたシーンを話す。
「初恋、ざらり」

©「初恋、ざらり」製作委員会

「第2話の後半で有紗が岡村に対して『岡村さんのこと考えてたら、頭がいっぱいになっちゃって』と口にするシーンがあります。有紗は意図せずして愛の告白をしているのですが、それに対して岡村は呆気に取られて黙りながらも口を微妙にパクパク動かしていたんです。この口パクパクは原作や台本にはない表現で、『よくこんな芝居思い付くな』と唸ってしまいました
次のページ 
専門家の指摘が入ったシーンとは
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ