
“成功する確率が低いこと”+“1位を取らないといけないこと”。
この二つの前提条件を踏まえて考えると、
≪他のライバルたちと同じようなことをしていても仕方がない≫
ということに気付きませんか?
けれど舞香さんが悠斗さんに対してしてきていることは、他のライバルたちも当たり前のようにやっていることなのです。
会話を盛り上げようとしたり、LINEを送ったり、食事に誘ったりというのは、好かれるための王道の手段ではありますが、誰でも思いつくありきたりな方法とも言えます。
また、舞香さんはおそらく、彼に好かれたいという気持ちが強すぎて無意識のうちに、彼に嫌われそうな言動は避けるようになっているのではないでしょうか。
嫌われないようにしていると、相手に対して下手(したて)に出てしまったり、顔色をうかがってご機嫌を取ろうとしたりと、基本スタンスが“媚び”になってしまうのです。
さて、ここでモテ男である悠斗さん側の立場になって考えてみてください。
周囲の女性たちが自分に媚びているような雰囲気で、熱心に話しかけてきたりLINEを送ってきたりしてくるわけです。
……嫌いにはならないでしょうが、自分に群がってくる脇役のように見えてしまう可能性はあるでしょう。悠斗さんを主人公にした恋愛ドラマがあるとしたら、舞香さんは“主人公を好きな女子群”に属するモブキャラみたいな存在かもしれません。
舞香さんが悠斗さんに対してやっていたアプローチは、嫌われるリスクは低いので9位、10位といったビリ争いは回避できるでしょう。けれど、悠斗さんを取り巻く他のライバルたちと同じように安易に媚びを売っているだけで、特別際立っているわけでもないため1位、2位というトップ争いに参加できるアプローチでもないのです。