エルトン・ジョンも認めた33歳の日本人女性アーティスト。アジア人差別、女性差別へのメッセージも
今、世界の音楽シーンを賑わせ、席巻しようとしているアーティストがいる。リナ・サワヤマである。
なんと言ってもパワフルでエッジーなサウンド。そして社会的なメッセージ性。2023年1月に東京で開催された初の日本単独公演は圧巻だった。9月22日(金)からは映画初出演作『ジョン・ウィック:コンセクエンス』が全国で公開される。
「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、ユニークな経歴を持ち、差別や偏見と戦うリナ・サワヤマを紹介する。
宇多田ヒカルがノンバイナリーだと公表したのは、2021年6月26日、Instagramライブでのことだった。ノンバイナリーとは、男性か女性か、どちらでもない性自認(表現)の人々のこと。そのためにノンバイナリーの人は「彼」、「彼女」という性差区分を使わない。
その代わり使われるのが、They、Them。つまり「彼ら」だ。ということで宇多田のことを指して「彼女」と呼ぶことは正しくない。
宇多田は、日本人の著名人として初めてノンバイナリーであることをカミングアウトしたアーティストだが、海外では当たり前のようにこの代名詞を使うことを強く呼びかけている。
あるいはパンセクシャルはどうだろう。彼らもまたジェンダーにとらわれない。ノンバイナリーと同義ではないが、日本語に訳すと「全性愛者」となる。
代表的なアーティストとしてはリナ・サワヤマがあげられる。このリナ、日本ではまだ全国区の知名度ではないが、このコラムを機会にぜひその存在を知ってほしいと思う。
まず、彼女の特異な経歴から。リナが生まれたのは新潟県。そう、正真正銘の日本人。4歳のとき、イギリス、ロンドンへ移住する。
大学は名門ケンブリッジ大学。法学部で政治学や社会学、心理学を学ぶ。法科出身ながら、幼少期から大好きだった音楽の世界へ果敢に飛び込み、卒業後に本格的に活動を始めるのだ。
優秀なコンサルタント経験もありながら今やグラミー賞歌手のジョン・レジェンドなど、ユニークな経歴のアーティストは意外にいるものだが、では、リナが表現する音楽世界とは。
性差にとらわれないアーティスト

First Love -15th Anniversary Edition-(EMI Records Japan)