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知的障害のある女性に、別れた恋人が「泣きながらお願いしたこと」。ドラマ『初恋、ざらり』最終回の美しさ

優しい岡村が初めて見せた、駄々っ子のようなワガママ

 しかし、岡村は有紗の後を追い、抱きしめて「無理。有紗ちゃんがいない人生なんて無理」「俺が有紗ちゃんといると幸せなんだよ」と駄々っ子のように哀願。  12話まで一貫して優しさを見せていたが、裏を返せばワガママを一切言わず、自分の感情を押し殺してきた岡村。そんな岡村がほぼほぼ初めて主語を自分にして、自分勝手な言葉を並べる。岡村の心からの言葉を聞いた有紗は「ずるいよ」と口にして岡村を抱きしめ返す。紆余曲折あった2人は、晴れてよりを戻す。
「初恋、ざらり」

©「初恋、ざらり」製作委員会

 ラストシーンでは2人が一緒に料理をし、横並びで食事をしている姿が映し出された。2人が今後は寄り添いながら前に進んでいこうという姿勢を感じさせる。有紗が一方的に別れを告げる場面もあったが、今後はどのような苦難が待ち受けていても2人で乗り越えていくだろう。そう感じさせる終わり方だった。 【関連記事】⇒障がい者の恋愛描くドラマ『初恋、ざらり』で、制作が「炎上リスクよりも配慮したこと」。プロデューサーが語る

有紗も岡村も求めた“普通”とはいったい何なのか

 “考えさせられるドラマ”と括(くく)るとどうしても安っぽくなってしまうが、毎度毎度いろいろなことを考えさせられた『初恋、ざらり』。  有紗は終始、“普通”になることを願っており、岡村は両親から“普通”であることを望まれ続けていたが、とにもかくにも1話から“普通”という概念がつきまとう内容だった。
「初恋、ざらり」

©「初恋、ざらり」製作委員会

 ついつい「普通とは何か?」を考えたくなるが、“普通”は人によって解釈がほぼ確実に異なるため定義づけは難しい。  ただ本作を見る限り、普通という概念は「他人に迷惑をかけないこと」と表すこともできそうだ。 【関連記事】⇒障がい者の恋愛を描いたドラマ『初恋、ざらり』で、専門家が唯一「違和感を覚えた」シーンとは?プロデューサーに聞く
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誰もが、普通と普通じゃないを行ったり来たりしている
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